昨年から日本でも頻繁にメイカーズ・ムーブメントが取り上げられるようになってきたが、「3Dプリンタのようなパーソナルな工作機械が製造業の効率を上げる」という文脈で語られることが多いと感じている。イノベーション創出のきっかけとしての「ホビー」、そしてそこから生まれる「ビジネス」の文脈で捉え直すことが必要だ。今回のベイエリア出張で、メイカーズ・ムーブメントの源流でもあるMaker Faire Bay Area 2013に参加したので、その様子をレポートする。
「Maker Faire」って、どんなイベントなのか?
O'Reilly Mediaのco-founderであったDale Dougherty が創業したMaker Media社が、Make Magazineを創刊したのは2005年に遡る。その翌年には最初のMaker Faire が San Franciscoが開催されている。
同社のページによれば、「Maker Faireは、テクノロジー・教育・サイエンス・アート・工芸・エンジニアリング・食べもの・持続可能性といったテーマの、家族で参加できるイベントです」とある。同ページにある8年間の成長を示すグラフを見ると、ベイエリアのイベントをベースとして、ニューヨーク・オースチン・デトロイト・東京といった都市での開催も合わせて確実に裾野を広げていることがわかる。

下の地図を見ると分かるように、中央にあるEXPO HALLとFIESTA HALLを中心にとして屋外にも数多くの展示が並んでいる。プログラム一式はこちらからダウンロードできるので、展示リストは、こちらを参照して頂きたい。

「自分が作りたいものを作る」のがメイカー
会場をひと通り見て回った印象は、日本でいえば「コミックマーケット」のような、同好の士が集って楽しむイベントというものだ。具体的なモノやその動きを楽しんでいるという点では、ニコニコ超会議が近いと思う。
共通しているのは、自分のアイデアを形にすることを楽しみ、多くの人に見てもらうことを楽しんでいることだ。驚かれたり喜ばれたり褒められたり、というフィードバックを得て、もっといいものを作ろうとするモチベーションをさらに得ていくのだ。
次ページ以降では、「Makerムーブメント」が“ホビー”ではなく、“ビジネス”として成立していく可能性を感じた展示とそのビジネスモデルを掘り下げていく。
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高野 元 (タカノ ハジメ)
創発計画株式会社 代表取締役 / サービス開発コンサルタントR&Dエンジニアとしてキャリアをスタートし、NECにてインターネット・サービス技術の研究開発に10年間従事。そのなかで、スタンフォード大学客員研究員としてシリコンバレーの息吹を体感。ビッグローブ事業部(現NECビッグローブ株式会社)...
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