大人の世界で創造性を育むには
デザイン思考は、右脳ばかりを使っていた幼稚園児のような心に戻るためのマインドセットやプロセスなのですが、実際に大人の世界で取り入れるにはちょっとした工夫が必要です。彼らは長年企業と働いていた経験のなかで、周囲の環境が“クリエイティビティを殺してしまう”環境である場合に役立つデザイン思考の実践方法を、ちょっとしたヒントとして紹介しています。
組織の中で創造性を発揮するちょっとしたヒント
- 常に「大きく、かつ簡単にアウトプットが出る」ことを探す
- 普段と違ったコトを簡単に実験してみるやり方を探す
- インスピレーションをくれる仲間を出来るだけ近くに置く
- 外部で支援してくれる仲間を持つ(オープン・イノベーション・コミュニティ)
- 常に学ぶことを楽しむ
創造的なことを上司に認めてもらうためのちょっとしたヒント
- まず、今あるプロセスの上に乗っけるやり方を工夫する
- また、与えられた仕事に加えて、新しい創造的なアウトプットを乗っける
- 与えられてないことを、追加で全然違った形でやる
- (もしマネージャーの役割だったら)イノベーションの許されるスペース(余地)を作る
IDEOは長年企業のイノベーションコンサルティングをしていくなかで、おそらく「IDEOでは出来るけど、うちの官僚的な会社では出来ないよ」という声を何度も聞いたことがあったのでしょう。これらは、私が実際に大組織の中で新しいことを実現している人を見た経験からも、日本においても言える大組織内イノベーターの行動特性だと思います。
自分の創造性への自信を育む簡単にできる日々のエクササイズ
さらに、自分の創造性を育むために、今すぐ1時間以内に始められるエクササイズが紹介されています。
たとえば、アイデア発想に有効な『マインドマップ』や、『30サークルによるブレストのウォームアップ』、ユーザーに共感するための『共感マップ』や、『カスタマージャーニーマップ』エクササイズ、グループの創造性を瞬間的に高めるための『スピードデート』や、『ニックネームウォームアップ』が紹介されています。
マインドマップは、日本では有名な手法ですが、これもクリエイティビティを日々実践するために発散思考に慣れる、というエクササイズの一つですね。
この本は、現代のクリエイティビティの思想リーダーである、デビッドケリーが癌で余命数年を宣告された後、兄弟二人が過去の人生を振り返ってまとめられた現代のクリエイティブバイブルと言えるでしょう。この一年間d.schoolの留学中に読んだ本の中でも、最もコアのエッセンスを捉えている本と思います。自分の周囲の環境を「創っていきたい」あらゆる人に読んで頂きたい本です。
また、本書評で紹介した触りの部分は、有名なTEDの動画でも公開されています。こちらもあわせて、ぜひご覧下さい。