あえて目的を定めず、問題や不満をとにかく出して出しまくる!
その後は、グループごとに分かれ、一人ひとりが付箋に「やりたいこと」「改善したいこと」「困ったこと」などを記入。それを模造紙に貼り付けながら、説明を行っていく。「自販機のジュースの種類を変えてほしい」「机が狭い」といったものから、「長期的なビジョンが見えない」「採用の基準を明らかにすべき」など、様々な課題が出された。
それを似たもの同士、カテゴリごとに模造紙上で整理し、次は議論によってテーマを優先順位の高いものから2つに絞り、そのグループの課題とする。誰もが熱心に自らの課題感を語り、わきあいあいと笑いが起きるグループもあれば、やや硬い表情でなかなか意見が上がらないグループなど様々。それでも、ファシリテーターがきめ細やかに示唆を与えるうちに、すべてのグループでテーマ抽出が完了した。
そして、各グループを見て回り、自分が気になるテーマのグループに移動し、そこで解決策について議論を深めていく。そのため、それぞれのテーマごとにグループのカラーが出るのが興味深い。仕事環境をテーマにしたグループは女性ばかりの大所帯になり、年齢が大きく偏ったグループもあった。なお大人数なら様々な意見を聞くことができるし、少人数なら深い議論ができるというそれぞれのメリットがある。こうしたセットを2回繰り返し、実に多彩な課題と解決策が抽出できた。
休憩をはさみながら5時間に及んだ話し合いの後、まとめと忘年会が開催され、参加者のほとんどが残って親睦を深めた。誰もが「出し尽くした感」「話し尽くした感」ありありで満足気、そして心なしかいつも以上にフレンドリーな雰囲気に包まれた。そこで上がった感想の一部を紹介しよう。
「部署を越えて、様々な人と話せたのがよかった」
「期待していなかったけれど、おしゃべりは楽しかった」
「私だけ?と思っていたが、みんなもそう思っているとわかって親近感が湧いた」
など、意見交換の場を評価する声もあれば、
「意外に自分でできることや、解決策を教えることができるものがあった」
「せっかく意見を出しても何も変わらなければ意味がない。管理層に期待」
というように、解決策について思い及ぶものもあり、
「時間が長すぎ、範囲が大きすぎる。もっとコンパクトにならないか」
「業務として全員参加でやるべきでは」
といった会のやり方に工夫を求める声も上がった。
また、ファシリテーターからは「翔泳社の底力をみた」というありがたい評価に加え、「会社をあきらめると案外うまくいく。自分で小さなことから始めると意外に世界は変わる」「仲間を見つけ、さらに課題感を継続するために忘れない工夫を」といったメッセージが寄せられた。