ベンチャー・プライベート・カンファレンス白熱ベンチャー教室2014では、起業家や投資家が集まり起業に関するトークセッションや、世界を目指す日本発コンテンツの最新事情についての議論がなされた。「日本の独立VCが5年後の未来を語る」と題したセッションでは、リード・キャピタル・マネジメント(株) 代表取締役マネージングパートナー 谷本徹氏、East Ventures/クロノスファンド パートナー 松山太河氏、(株)東京大学エッジキャピタル 代表取締役社長 郷治友孝氏、グロービス・キャピタル・パートナーズ マネージング・パートナー仮屋薗聡一氏、インキュベイトファンド 代表パートナー本間真彦氏、モデレーターにANRI GeneralPartnerの佐俣アンリ氏、Skyland Ventures 代表パートナー木下慶彦氏が登壇した。
1歩先を見据えつつ、半歩先の投資を
まず始めに、登壇者それぞれが、投資する際の指標として3年後5年後をどのように見据えるか、といった話から始まった。仮屋薗氏は、かつての失敗経験として一歩先への投資ではなく、半歩先を目指して投資することが大事だと語る。今でこそ、コンビニでもオンラインプリントが導入されているが、15年前にオンラインプリント事業に投資をしたが、当時はネット環境の充実が追いつかないというインフラに課題を抱えた結果、急成長が難しい事業だったという。
「遠くを見過ぎると、外部環境などの条件に左右されて失敗する。テクノロジーの進化と現実をどう見定めるか。一歩先、三歩先の未来を見据えつつ、半歩先にくるものに投資をすることが大切」(仮屋薗氏)
では、キャピタリストとして何手先、何年先を見据えることが必要なのだろうか。研究分野に投資を行う郷治氏は、大学の研究機関は何十年先の研究がなされているが、ファンドという特性上、大きな投資を行う事業は10年先までが限界だと語る。
「5年から10年スパンで上場を見据えている。ビジネスに関連するものに絞り、大学の技術を応用して事業拡大を支援する。大学だけではなく、企業が持つリソースや技術も組み合わせて、マーケットを分析して産学連携で事業を作り上げていくことが大切」(郷治氏)
本間氏は、近年のスマートフォンの普及のように、イノベーションのスピードの早さについて指摘。5年前はスマートフォンが一般的ではなかったが、もはや米国や日本だけではなく、世界中が同じデバイスを持つ時代となった中で、プラットフォーム戦略をどのように作っていくかが鍵だという。同時に、単一ではなくマルチデバイスの可能性も視野に入れることが重要だと語る。
自身の投資先としても見据えているように、成長率ではこの数年インドネシアが伸びていると松山氏は語る。「スマートフォンやPC保有率も高く、ネットとの親和性は高い。GDP規模で言えばまだ約7000億米ドル程度だが、あと5年くらいで倍になる可能性は大きく、スケール規模は大きい」と松山氏は語る。タイムマシン経営によるビジネスの可能性も大きく、「1997年から1999年頃の日本」が今のインドネシアだと指摘する。
「シリコンバレーに出た人が地元に帰ってきて、大学時代の友人と起業するという流れが起きている。この数年で大きく動きそう」(松山氏)