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マイナンバーがやってくる

第1回 マイナンバーがIT業界に与えるインパクト


 2014年8月に掲載した『マイナンバー制度がやってくる』という記事は、予想を超える数多くの人に読んでもらえた。そこで今回から数回にわたりマイナンバー制度をとりまく状況について、連載形式で情報提供していくことにする。

マイナンバーの配布は今年の10月から

 改めてマイナンバーについておさらいしておくと、社会保障・税番号制度、通称マイナンバー制度は来年2016年からスタートする。国民1人1人に12桁の番号を付与し、それを社会保障や税の諸手続きにおける共通番号として利用することで、国民生活や行政の業務などの利便性と効率化をもたらすのだ。

 2016年のスタートを前に、今年の10月頃からまずはマイナンバーの通知が始まる。そして、付与されたマイナンバーの利用が2016年1月以降から開始される。現状は、マイナンバーを付与し通知するための作業を自治体などの行政機関が急ピッチで行っているのだろう。また並行して税金や健康保険、年金などの事務を行う行政機関や健康保険組合などが、これまた急ピッチでマイナンバーを受け取って利用するシステム開発などに追われているはずだ。

 マイナンバーは、番号法(『行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律』 平成二十五年五月三十一日法律第二十七号)で「限定的に定められた事務」の範囲の中から、具体的な利用目的を特定し利用するのが原則だ。現時点での定められた事務の対象となっているのが社会保障、税、災害対策の3つだ。

 具体的には年金、雇用保険、医療保険の手続き、生活保護や児童手当、その他の福祉給付、また確定申告などの税の手続きなどで申請書などにマイナンバーを記載することになる。税や社会保険の手続きでは、事業主や証券会社、保険会社などが個人に代わって手続きを行う場合もあるので、勤務先の企業や証券会社、保険会社などの金融機関にマイナンバーを提出することになる。

 つまり、受け取ったマイナンバーに関し、個人のレベルで最初に行うのは勤務先への番号の提出となるだろう。続いて銀行や証券会社などにも番号を提出する手続きが必要だ。10月時点ではマイナンバーが記載された紙の通知カードが、住民票のある市区町村から送られてくることになっている。そして2016年1月以降には、住民基本台帳カードと同様のICチップの入った「個人番号カード」を申請し作成できるようになる予定だ。

 個人番号カードは住民基本台帳カードに代わるもので、表面に氏名、住所、生年月日、性別と顔写真、裏面にマイナンバーが記載される予定だ。写真が付くので本人確認のための身分証明書としても利用できるようになり、図書館カードや印鑑登録証など自治体などが条例で定めるサービスにも利用でき、当然ながらe-Taxなどの電子申請で使う電子証明書も標準搭載される。

 細かいことを言うと、身分証明書に使うのは写真の付いた個人番号カードであり、個人番号、つまりはマイナンバーを身分証明として使うわけではない。なので、たとえばレンタルビデオなどの会員登録のために身分証明書として個人番号カードを提示したとしても、店側で裏に記載してあるマイナンバーをコピーしたり書き写したりすることはできない(してはいけない)。

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マイナンバーの利用拡大への期待

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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