
「EMC World 2015」の2日目のテーマは「Federation」。この日のゼネラルセッションでは、EMCのCEO ジョー・トゥッチ氏、PivotalのCEO ポール・マリッツ氏、そしてVMwareのCEO パット・ゲルシンガー氏というそうそうたるメンバーが登壇しFederationの価値と各社間の強い連携について語った。
EMC―革新的なテクノロジーを提供し続ける
最初にステージに登場したのは、EMCのジョー・トゥッチ氏。

「新しいデジタル時代です。全ての企業が産業革命よりも大きな波を感じていることでしょう。これは、ものすごく大きな波です。そのために、これまでと同じようにはやっていけません」(トゥッチ氏)
この大波に打たれてしまうのか、あるいは上手く乗れるのか。波に乗るには、ITの力が必要だ。新しいデジタル時代はスマートデバイスやセンサーがインターネットで繋がっている。その世界の変化は極めて速く、対応するにはアジャイルで俊敏に開発できる必要がある。なおかつそれを安価に実現できなければならない。それができなければAmazonやGoogleのようなデジタル時代に大きく成長している新しいプレイヤーに、既存の市場も奪われてしまう。
「守勢に回ってはいけません。この波はチャンスでもあり破壊をもたらすものでもあります。デジタル時代には、利用されるアプリケーションにはこれまでの1,000倍のユーザー、1,000倍のデータが存在することになるでしょう。そのために必要なプラットフォームはどんなものになるのかを考えなければなりません」(トゥッチ氏)
また、多くのレガシーなデータセンターで動いているERPなどの既存アプリケーションを、どうやってモダン化して動かすか。モダン化して効率を上げ、その上でコストは削減する。さらに、モバイルにも対応させる必要もあるだろう。このときに利用するのはクラウドの技術だ。これにはマネージドもあればパブリックもある。
「ハイブリッドクラウドのアプローチです。ハイブリッドで実現すべきプラットフォームは、第1から第3まで全てが対象です。間にはプラットフォーム2.5もあるでしょう」(トゥッチ氏)
そして、サイバー攻撃への対応も重要になってくる。多くのユーザーが繋がり、多くのデータがある。価値ある情報が集まれば、それを奪おうとする人も出てくる。環境は複雑化し攻撃は高度化しているので、これまでのセキュリティ対策方法では対処できない。そこでビッグデータを活用するセキュリティ・アナリティクスで、何が起きているかを予測して対応する。
これら3つのビジネス変革の課題に対応するために、EMCは3社連合で対応する。3社のミッションは各社個別であり、そこには共通した1つの哲学がある。
「ユーザーに選択を与え、ロックインされないようにすること。そして実現する環境は、安価で拡張性もなければなりません。EMCはテクノロジーの会社なので革新的なテクノロジーを提供し続けたい。そのために売り上げの12%を研究開発に投資し、8%をテクノロジーの買収に使っており、この投資は1年で50億ドルを超えています」(トゥッチ氏)
実際、この2年半で大きな企業を6つ買収し、そのために60億ドルを支払った。新たに加わった6社のビジネスから、昨年は10億ドルの売り上げがあった。1株当たりの利益はマイナスになるが、こういった投資をしながらビジネスのパワーを得ているのだという。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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