SOAによる競争力強化の必要性が高まっている
2008年7月15日、16日の2日間に渡り、「ガートナー SOAサミット 2008」が開催された。15日最初の基調講演で、ガートナーリサーチ バイス プレジデントの飯島公彦氏は、日本企業におけるSOAへの取り組みの現状および2008年の重点項目について語った。飯島氏は、ここ最近の傾向として「SOAに対する過度な期待が下降してきた」と指摘する。
1996年にガートナーのレポートでSOAという言葉が世の中に初めて登場し、その後はまずテクノロジの黎明期がやってくる。当初はSOAの考え方だけが先行し、実際に利用できる技術がまだ成熟していない時期だった。
そこから徐々にイベント駆動型のアーキテクチャであるとか、使える技術や製品が市場に登場し始める。それと並行して、SOAを導入すれば企業のビジネスに対しなんらか絶大な効果が現れるのではという過度な期待を抱く時期がやってくることとなる。
ここまでの初期の段階でいち早くSOAに着手したのは、体力のある大手の先進的な企業だ。彼らは試行錯誤により手探りでSOA実現のための課題を乗り越えることになる。そして、ここ最近になりSOAのサービスも増やすことが可能となり、やっとその効果が出始めた状況だ。
逆に、先行した企業の苦労した状況が市場で垣間見られるようになると、2008年を迎える頃からはSOAへの過度な期待はかなり下降した状況になっているのだ。
SOAで先行した先端企業は、その効果としてこれからはコスト削減が積み重なっていく時期を迎える。一方、SOAに手を付けたもののなかなかうまくいっていない企業では、まだまだメンテナンスコストが大半を占める状況にあり、両社の企業能力の差は拡大していくだろうとのこと。
この格差に対し、手をこまねいているわけにもいかない。企業は、早急にSOAで競争力強化を図る必要があるのだ。