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現場の視点で考えるオープンクラウド基盤

 今度は実際の現場が抱える事情を通じてオープンクラウド基盤が求められる背景について考える。玉置氏は「はじまりはいつも思いつき」と言う。開発者がふと「検証用のサーバーがほしい」と思いついても、運用担当者はすぐに用意できるわけではない。しかし「のぞみがすぐにかなう。クラウドならね」と玉置氏。

 つまりクラウド(仮想化)環境にしておけば、開発者からすればすぐにリソースが手配されて開発に着手できる。環境を利用状況に合わせてスケールアウトできるのもメリットだ。モバイルやビッグデータなどの新領域のアプリ開発であればなお、クラウド環境と相性がいい。

 一方、運用者からすると「1人で1000台ものサーバを管理するなんて無理」「運用の効率を求められても」という不安もある。そのため運用担当者からすると運用の自動化は必須である。併せて考えると、オープンクラウド基盤で主要な軸は「仮想化」と「自動化」の2つが挙げられる。前者はサーバ、ネットワーク、ストレージなどの仮想化(ソフトウェア定義)となり、後者はデプロイ、設定、監視やアラートの自動化となる。

 最後に玉置氏はそれぞれの領域で注目すべきトピックをいくつか挙げた。ソフトウェア定義関連、サーバーではコンテナ技術の「Docker」や「Kubernetes」、ベアメタル対応の「Ironic」や「Ubuntu MAAS」があり、ストレージではオブジェクトストレージの活用が進んできていると指摘した。また最近ではPhysical Provisioningが進んできている点も注目だという。具体的にはサーバやネットワークのOCP(Open Compute Project)やODM(Original Design Manufacture)、ストレージでは「Swift」、「Ceph」、「ScaleIO」、「ViPR」など。

 自動化関連ではクラウド型の開発や運用スタイルが普及しつつあり、具体的にはCI/CD(継続的インテグレーション/デリバリー)やブルーグリーンデプロイメントがある。後者は環境をブルーとグリーンの2系統用意して切り替えてアプリケーションをデプロイする方法だ。

 オープンクラウド基盤関連の技術は今まさに多岐にわたり新しいものが生まれ、進化している最中である。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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