データアナリティクスでジャガイモを育てる
「ジャガイモを育てるためのデータは、McCainにとって極めて価値のあるものです。当初は収集したデータを36の別々のMicrosoft SQL Serverで分析していました。それを一元化して分析するために、Teradataに統合化しました」
ゼネラルセッションのステージをリードしたのは、ユーザー会の運営委員会代表で、カナダの食品会社McCain Foodsでエンタープライズ・データインテグレーションのマネージャーを勤めているレナイン・コールボーン氏だ。McCainでは主力商品であるフライドポテトの品質安定化のために、ジャガイモの生産を安定化、効率化するのに必要なさまざまなデータを集め活用している。
現状ではセンサーでジャガイモの畑から各種情報を収集するだけでなく、空から撮影した映像データも利用し農薬散布の最適化なども行っている。また、同社におけるデータ分析としては、ERPのアプリケーションで処理するオペレーショナルなデータももちろん対象。ERPにはSAPを導入しており、以前はここからデータを収集し分析できるようにするまでに24時間ほどの時間がかかっていた。それをTeradata Connectorを利用して10分、20分という間隔でリアルタイムに近いデータ分析環境も実現できたと言う。
「データが、McCainのビジネスパラダイムを変えました。今やデータ中心のビジネスになっています。Teradata Analyticsで分析のプログラムを促進できました。それにより鋭い洞察が可能になり、今ではデータがビジネスの答えになります。今や、データを集めなければビジネスのさまざまなことが管理できません」(コールボーン氏)
McCainの情報活用の取り組みはこれで完了ではない。
「情報を日常の中で活用できるようにするところまで進めます」とコールボーン氏。データ分析は機敏性をもって素早く行う必要がある。それが企業の競争優位性になる。McCainでは情報が一部アナログな部分もあり、まだまだ完璧なビッグデータの会社にはなっていない。なので「毎日、少しずつ改善します。データが悪ければいい意思決定はできません」(コールボーン氏)
IoTの時代になれば、Uberがもたらしたような業界の変化が様々なところで起こる
「データがテラデータの心臓です」―続いて登場したのは、テラデータ・コーポレーションのCEO マイク・コーラー氏だ。今回でPARTNERSは30周年。その30年前とテラデータのコンセプトは変わっておらずとコーラー氏。そしてもう1つ強調したのが、テラデータ自身がパートナーとなり顧客ビジネスの成功に寄与すること。この発言はカンファレンスがユーザーの集まりだからかもしれないが、ビジネスを進める主役はあくまでもユーザーでありそれを支えるのがテラデータの役割であると主張した。
具体的なIoTに関する今後の戦略を説明したのは、テラデータ・コーポレーション 共同社長 グローバル・データ分析部門担当のハーマン・ウィマー氏だ。彼は、データ分析が今後どのように変化するかを説明するために、まずは過去を振り返るところから話を始めた。
ビジネスにおけるデータ分析の最初はPOSデータの解析から始まった。それで売り上げ傾向などを見て、やがてはPOSデータ以外の外部データ、たとえば天気情報なども取り込んで分析をするようになった。ここまでは主に分析対象はトランザクションデータだ。次に利用されるようになったのが、ソーシャルネットワークのデータのようなインタラクティブなデータだ。
「今の若者は、インタラクションの世界しか知りません」とウィマー氏。インタラクティブなデータが入ってくることで、顧客とのコミュニケーションの分析が始まる。
さらに今後はIoTによるスマートな世界がやってくると言う。
「500億ものデバイスが2020年までにつながるようになります。そうなれば、ビジネスモデルの大きな変化が訪れます。この変化の兆しはUberが起こしているタクシー業界の破壊を見れば分かります。Uberは自動車業界すらも変化させるでしょう。Uberは消費者の期待を変化させています。自動的に予約ができ、乗る前にドライバーのことも分かります。それでいて使いやすいサービスです。コンシューマの期待感が、Uberのサービスを定義しているとも言えるでしょう」(ウィマー氏)
Uberが巻き起こしている変化が、IoT時代にはさまざまな業界でも起こる。とはいえ、IoTはまだ初期段階だともいう。IoTにより生産性や効率を上げられるが、それは生まれてくるデータのほんの1%程度を分析するだけでも可能だ。今後さらなる大きな変化を起こすには「Analytics of Everything」だとウィマー氏は言う。
「Analytics of Everything」とはどういうことだろうか?それは、生まれてくる全てのデータを溜めて分析するというよりも、あらゆるシーンでデータを取得し分析できるようにするということだろう。