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Uberだけじゃない!Analytics of Everythingの時代がやってくる


 米国カリフォルニア州アナハイムで「TERADATA 2015 PARTNERS」が始まった。参加登録者数はバーチャルカンファレンスも含め5,000人程。ITベンダーのプライベートイベントとしては、それほど大規模なものではないだろう。というのもこのカンファレンスは、ベンダーであるテラデータ・コーポレーションが主催ではなく、テラデータのユーザー会主催のイベントだからと言うのもある。つまり、ベンダーがマーケティング的に大勢の顧客や顧客見込みの人たちを集めるのではない。実際にテラデータの製品を利用しているユーザー同士が交流し、情報交換をする場。そう考えれば、かなり大規模なユーザー会と言えるだろう。テラデータの立場もダイヤモンドスポンサーの1つとなっている。

データアナリティクスでジャガイモを育てる

レナイン・コールボーン氏
レナイン・コールボーン氏

 「ジャガイモを育てるためのデータは、McCainにとって極めて価値のあるものです。当初は収集したデータを36の別々のMicrosoft SQL Serverで分析していました。それを一元化して分析するために、Teradataに統合化しました」

 ゼネラルセッションのステージをリードしたのは、ユーザー会の運営委員会代表で、カナダの食品会社McCain Foodsでエンタープライズ・データインテグレーションのマネージャーを勤めているレナイン・コールボーン氏だ。McCainでは主力商品であるフライドポテトの品質安定化のために、ジャガイモの生産を安定化、効率化するのに必要なさまざまなデータを集め活用している。

 現状ではセンサーでジャガイモの畑から各種情報を収集するだけでなく、空から撮影した映像データも利用し農薬散布の最適化なども行っている。また、同社におけるデータ分析としては、ERPのアプリケーションで処理するオペレーショナルなデータももちろん対象。ERPにはSAPを導入しており、以前はここからデータを収集し分析できるようにするまでに24時間ほどの時間がかかっていた。それをTeradata Connectorを利用して10分、20分という間隔でリアルタイムに近いデータ分析環境も実現できたと言う。

 「データが、McCainのビジネスパラダイムを変えました。今やデータ中心のビジネスになっています。Teradata Analyticsで分析のプログラムを促進できました。それにより鋭い洞察が可能になり、今ではデータがビジネスの答えになります。今や、データを集めなければビジネスのさまざまなことが管理できません」(コールボーン氏)

 McCainの情報活用の取り組みはこれで完了ではない。

 「情報を日常の中で活用できるようにするところまで進めます」とコールボーン氏。データ分析は機敏性をもって素早く行う必要がある。それが企業の競争優位性になる。McCainでは情報が一部アナログな部分もあり、まだまだ完璧なビッグデータの会社にはなっていない。なので「毎日、少しずつ改善します。データが悪ければいい意思決定はできません」(コールボーン氏)

IoTの時代になれば、Uberがもたらしたような業界の変化が様々なところで起こる

マイク・コーラー氏
マイク・コーラー氏

 「データがテラデータの心臓です」―続いて登場したのは、テラデータ・コーポレーションのCEO マイク・コーラー氏だ。今回でPARTNERSは30周年。その30年前とテラデータのコンセプトは変わっておらずとコーラー氏。そしてもう1つ強調したのが、テラデータ自身がパートナーとなり顧客ビジネスの成功に寄与すること。この発言はカンファレンスがユーザーの集まりだからかもしれないが、ビジネスを進める主役はあくまでもユーザーでありそれを支えるのがテラデータの役割であると主張した。

 具体的なIoTに関する今後の戦略を説明したのは、テラデータ・コーポレーション 共同社長 グローバル・データ分析部門担当のハーマン・ウィマー氏だ。彼は、データ分析が今後どのように変化するかを説明するために、まずは過去を振り返るところから話を始めた。

ハーマン・ウィマー氏
ハーマン・ウィマー氏

 ビジネスにおけるデータ分析の最初はPOSデータの解析から始まった。それで売り上げ傾向などを見て、やがてはPOSデータ以外の外部データ、たとえば天気情報なども取り込んで分析をするようになった。ここまでは主に分析対象はトランザクションデータだ。次に利用されるようになったのが、ソーシャルネットワークのデータのようなインタラクティブなデータだ。

 「今の若者は、インタラクションの世界しか知りません」とウィマー氏。インタラクティブなデータが入ってくることで、顧客とのコミュニケーションの分析が始まる。

 さらに今後はIoTによるスマートな世界がやってくると言う。

 「500億ものデバイスが2020年までにつながるようになります。そうなれば、ビジネスモデルの大きな変化が訪れます。この変化の兆しはUberが起こしているタクシー業界の破壊を見れば分かります。Uberは自動車業界すらも変化させるでしょう。Uberは消費者の期待を変化させています。自動的に予約ができ、乗る前にドライバーのことも分かります。それでいて使いやすいサービスです。コンシューマの期待感が、Uberのサービスを定義しているとも言えるでしょう」(ウィマー氏)

 Uberが巻き起こしている変化が、IoT時代にはさまざまな業界でも起こる。とはいえ、IoTはまだ初期段階だともいう。IoTにより生産性や効率を上げられるが、それは生まれてくるデータのほんの1%程度を分析するだけでも可能だ。今後さらなる大きな変化を起こすには「Analytics of Everything」だとウィマー氏は言う。

 「Analytics of Everything」とはどういうことだろうか?それは、生まれてくる全てのデータを溜めて分析するというよりも、あらゆるシーンでデータを取得し分析できるようにするということだろう。

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Analytics of Everythingでは、オープンソース・ソフトウェアや分析のエコシステムを活用する

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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