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IT戦略活用の鍵、基幹システムをクラウドに移行せよ!カルビー前社長中田康雄氏、NTT Com等が講演

 企業の基幹システム分野におけるクラウドの活用をテーマにしたセミナー「第4回 Cloud Marketing Event」(主催:NTTコミュニケーションズ)が3月1日に開催された。基調講演では、「カルビーの経営革新とITの戦略的活用~基幹システムのあり方とクラウド活用~」をテーマに、カルビー前社長の中田康雄事務所代表 中田康雄氏が登壇。クラウドやビッグデータ、IoTの成功例からITの戦略的活用に関心が高まるなか、中田氏は「IT部門にとって千載一遇のチャンス」だと指摘する。中田氏、NTTコミュニケーションズとそのパートナー企業であるインフォアジャパン、インフォシスリミテッド、FPTジャパン、オービックビジネスコンサルタントが講演を行った本セミナーの模様をレポートする。

カルビーの経営革新とITの戦略的活用

 「IT部門にとって千載一遇のチャンスが到来しています」と、冒頭で中田氏は強調する。近年ではビッグデータ、IoT、クラウドコンピューティングなど、ITの高度活用に関する情報がはん濫している。加えてITの戦略的活用は経営トップの関心事でもある。

カルビー株式会社 前代表取締役社長兼CEO/CIO 
株式会社 中田康雄事務所 代表 中田 康雄氏

 これまではIT部門の役割はITシステム基盤の開発や維持だったが、これからは経営層や事業部門に戦略企画を提案する立場へと転身を図るべきというのが中田氏の提言だ。  

 ただしIT投資の重要性に関しては、まだ日本は消極的だ。電子情報技術産業協会の2013年報告によると、経営から見たIT投資の重要性についてアメリカでは「極めて重要」だけでも75.3%あるのに対し、日本では「極めて重要」はわずか15.7%。「重要」を合わせても68.5%にとどまる。  

 ITR「IT投資動向調査」を見ても、新規ビジネスモデル実現、事業・業務変革、経営情報の可視化といった「攻めの投資」に相当するものの重要度が低い。こうしたものの重要度を高めていくことが重要だ。  ではITからどのように構造改革を進めていくべきか。中田氏によると重点投資テーマは経営戦略実現に貢献するものであり、その目的には競合優位、差別化、グローバル化があるという。加えてシステム開発方針は従来のように開発や資源が自社に集中するシステム構成から脱却し、ERP、BPO、クラウドを積極的に活用する方向へ転換を図るべきだという。言い換えればC/S(クライアント/サーバー)からクラウドコンピューティングへの転換だ。

出所:「第4回 Cloud Marketing Event」株式会社 中田康雄事務所 中田康雄氏講演資料より

 中田氏は、その中でもERPのクラウドへの移行を挙げる。コスト削減、最適化、安定性、セキュリティなど多くのメリットがあり、レガシーシステムから短期で離脱が可能となる。ここで重要なのは「はっきりした目的を掲げること」と中田氏は念を押す。例えば経営情報の迅速化、グローバルな範囲での経営可視化、基幹業務の保守コスト削減などだ。  

 いくつか重要なポイントを中田氏は挙げた。ERP導入の前提として「ERPを業務に合わせようとしてはいけません。業務をERPに合わせてください」と警告。そしてIT部門だけで進めるのではなく「業務現場も巻き込むこと」も重要だという。 開発は迅速に行うこと。そして「ビッグバン方式」を掲げた。全社一斉導入するということだ。会計システムだけなど限定的な導入では「確実に失敗します」とバッサリ。システムから現場まで一気にシステムを変えること。そうして初めて「大きな効果が得られる」という。  

 中田氏はかつて所属していたカルビーでの実績を紹介した。成長戦略として「非常識」な戦略構想を掲げた。例えば「スナックは生鮮食品」、「スナックはファッション商品」などこれまでの常識を打ち破る構想を掲げ、日本的スナックの世界展開へとつなげた。  

 例に出した「スナックは生鮮食品」だと、実現のための施策の一つとしてパッケージへの日付表示がある。これで店頭における鮮度が可視化され、鮮度の許容範囲を定めるなど管理が可能な状態へと変わった。さらにSCMの高度化やパッケージのアルミ化などへと発展し、スナックは生鮮食品として扱われるようになっていった。  

 あらためてまとめるとITによるビジネス変革とは全員参加、共創、可視化というマネジメントに加えて、さらにプロダクトやプロセスやマインドも変革していくことになる。中田氏はIT部門に対して脱コストセンターを目指すこと、事業戦略に精通すること、新型IT人材を確保すること、そしてリスク管理などの守りもしつつ、「IT革命を主導せよ」と鼓舞した。

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基幹システムをターゲティングした次世代クラウド基盤――NTT Com

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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