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「PostgreSQL」 使いこなしの極意(AD)

PostgreSQLを誰でも使いこなせるようにするために富士通がしていること

企業がPostgreSQLを利用するために必要なこと

 ほんの数年前まで、PostgreSQLをビジネス現場で利用する企業はごく一部に限られていた。ところが今では、多くの企業からPostgreSQLを活用したいという声を聞くと佐野氏は述べる。しかし、PostgreSQLを活用して迅速にビジネスを立ち上げようとしても、いざOSSのPostgreSQLを使おうとすると、サポートや信頼性、可用性などの面で不安が出る。そのため、検証用に立ち上げる環境ならばともかく本番環境のデータベースとしてはOSSになかなか踏み出せないのが現状だ。  

 「富士通は、お客様のやりたいことをスピーディーに実現するデータベースとして、『Symfoware Server』のエンジンにPostgreSQLを採用しました」と佐野氏は述べる。自社製品に取り込むことで、富士通として徹底した技術支援を行い、技術者教育、育成などを含むサポートにより、PostgreSQLを利用する顧客の不安を解消する。

図:富士通のDB「Symfoware Server」とは 
出所:富士通株式会社

 前述の通り、富士通では企業がPostgreSQLをビジネスで使うのに必要な性能や信頼性を、独自拡張により確保している。その1つが更新ログである「WAL(Write Ahead Logging)の二重化」だ。  

 「ビジネスで利用するとなると、データの信頼性は極めて重要です。そのため富士通は、独自にWALを完全に二重化しています。WALが2つあれば、それらが同時に壊れることはまずないでしょう。これにバックアップを併せることで、何らかの障害が発生したとしてもデータベースを完全に復旧できます」(佐野氏)

図:WALの二重化 出所:富士通株式会社

 PostgreSQLでは、アーカイブされたWALはコピーできる。しかしこれだけでは、データベースの故障時にアーカイブ前のWALが失われるため、データを最新状態に復旧することができない。そこで富士通は、最新のWALをリアルタイムに別々のディスクに書き込めるようにした。「これができて始めて、エンタープライズ用途に耐えられるデータベースと言えます」(佐野氏)。  

 可用性向上の機能として、「データベースの二重化」も提供する。「富士通独自のデータベースの監視エージェントとコネクション管理機能により、アプリケーションからのアクセスをサブのデータベースサーバーに10秒程度で自動で切り替えることができます」(佐野氏)。このときアプリケーション側に、再接続のためのロジックなどを新たに追加する必要がないのも大きなメリットだ。

図:データベースの二重化 出所:富士通株式会社

 「PostgreSQLはOSSと組合せてHA構成にできます。しかし、HA構成はトラブル時の操作が複雑です。そこで、富士通はPostgreSQLのストリーミング・レプリケーション機能を活用し、データベースを二重化することで、トラブル時の操作をシンプルにしています」(佐野氏)

 実は、HA構成を使いこなすのは難しい。苦労してHA構成をとっても、障害箇所により復旧手順が異なるため、慣れていなければ正しく復旧できない。場合によっては、業務をすぐに再開できないこともある。これに対して富士通が提供するデータベースの二重化機能であれば「データベースを完全にコピーするので、障害の発生箇所に関わらず、切り離すだけで業務を継続できます。また、復旧操作もコマンドひとつでできるようにしています」と佐野氏は述べる。  

 また、セキュリティ面の強化も行っている。それが「透過的暗号化」だ。個人情報漏洩事故が後を絶たず、さらには改正個人情報保護法の施行、マイナンバー制度も始まり、最近は企業規模の大小に関わらずデータベースに格納するデータの暗号化ニーズは高い。PostgreSQLにも暗号化機能はあるが、一時表が暗号化されないなど課題もある。  

 富士通は、アプリケーションの修正を必要としない透過的なデータベースのデータ暗号化機能を提供している。これはテーブルデータだけでなくバックアップデータにも適用できる。暗号化と復号はAES-NI(Advanced Encryption Standard New Instructions)に対応しており、CPU処理のオーバーヘッドは2%未満に抑えられている。

図:透過的暗号化 出所:富士通株式会社

 他にも、インメモリ・カラムナと並列多重処理などで性能向上も図っている。インメモリ・カラムナは、Oracleなど他の商用データベースが採用する機能と同等だ。これを活用すればテーブルデータのパーティション化などを行わなくても、高速な処理が可能となる。  

 情報系のSQL処理で参照されるようなデータは、自動的にメモリ上のカラムストアから読むことができ「かなり高速に処理できるので、OLTPへの影響は極めて小さくなります。そのため、1つのデータベースでOLTPとレポーティングやデータ分析の処理を同居させることも可能です」と佐野氏は述べる。  

 現状、データを集約して多角的な分析を行うデータウェアハウスに加え、ビジネスプロセスの中でタイムリーに集計やレポーティングを行う要求が高まっている。その際に、インメモリでOLTPに影響を与えることなくリアルタイムにデータ分析ができるところは、かなり有効な機能となる。このインメモリ・カラムナ機能は、2016年度に提供を開始する新機能だ。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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