EMCジャパンは「MODERNIZE~ITとデータセンターの未来を変える」と題したセミナーを開催。5月に米国で開催されたEMC World 2016のハイライトと主要な新製品を解説した。本稿ではEMCが持つフラッシュ製品ポートフォリオ全体像と新しく発表されたミッドレンジのフラッシュ製品に注目する。
フラッシュ(SSD)のメリットというとまず思い浮かぶのはパフォーマンス向上だ。しかしEMCジャパン 内田氏は「ドライブ数(設置場所の小ささ)や電力消費量の削減など、コスト削減もあります」とメリットは多岐にわたると話す。

2016年はHDDとフラッシュの価格が逆転する
EMC World 2016でEMCは大々的に「2016 The year of all flash for primary storage(2016年はオールフラッシュ元年)」と掲げた。2016年はプライマリストレージでもオールフラッシュが主流になると見ている。つまりストレージの主流がHDDからフラッシュへシフトするということだ。
理由はコストだ。これまで容量当たりの単価で見るとフラッシュのほうがまだ高かった。だからユーザーは安いほうのHDDを選んでいた。しかし近年フラッシュの価格下落はHDDよりも早く、2016年には容量当たりの価格はフラッシュのほうがHDDより安価になると見られている。
内田氏は「性能がいいだけではなく、設置スペースを小さくでき、消費電力も少なく、故障率も低い。これで価格がHDDよりも下回るとなれば、もうフラッシュを利用しない理由はありません。これからはそんな時代になります」と話す。
製品ポートフォリオは続々とオールフラッシュに対応
あらためて内田氏はEMCのフラッシュ製品ポートフォリオを示した。大きく分けて3つのカテゴリがある。ラックスケールフラッシュ、ハイエンドのオールフラッシュアレイ、ミッドレンジのオールフラッシュアレイ。
ラックスケールフラッシュに該当するのが2016年3月に発表された「DSSD D5」。平均100マイクロ秒の低レイテンシ、100 GB/sの高スループット、最大1000万IOPSで超高速の性能を誇る。オールフラッシュアレイと比較すると応答速度は10倍、秒間IOも10倍で内田氏は「100倍優れています」と胸を張る。現在はこの性能を強みに気象の分析やがんの研究などで活用されている。またDSSDは今年後半にはデュアルラック構成で容量もIOPSも倍となる製品をリリースする予定だ。
ハイエンドのオールフラッシュに該当するのはXtremIOやVMAX。XtremIOは近年急進している製品で、特徴はスケールアウト型。主要な機能にインラインの圧縮と重複排除、超効率スナップショット、ディスク暗号化、データ保護、レプリケーションなどがある。
VMAXは2016年3月に「VMAXオールフラッシュ」が発表されたところ。長い実績のあるVMAXにオールフラッシュ版が登場したことになる。7.68TBと15.36TBのSSDに対応する。ネイティブインライン圧縮を実現し、VVOLSに対応、リモートレプリケーション、暗号化、スナップショット、インラインのマイグレーションなどの機能を持つ。
ミッドレンジのフラッシュ製品には「EMC Unity(以下、Unity)」がある。2016年5月18日から提供開始している。今回の目玉となるので詳しくは後回しにしよう。オールフラッシュとハイブリッドなどがあり、安価でフラッシュが身近になりそうだ。
もうひとつ、オールフラッシュ製品では「プロジェクト Nitro(ナイトロ)」がある。正式リリースは2017年とまだ先ではあるものの、2016年後半にはベータプログラムが開始される予定だ。オールフラッシュアレイを積んだIsilonの新製品となる。メディアエンターテイメントやEDAなど性能や容量を必要とするアプリケーションでの活用が想定されている。
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加山 恵美(カヤマ エミ)
EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net
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