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ウイングアーク1stにライバルなし―自分たちの製品で新たな市場を切り開く

 「BIのシステムは、今や止められないシステムになっています。全社規模で利用するようになり、企業内のさまざまな人が基幹の業務の中で利用するようになっています」と語るのは、ウイングアーク1st 営業本部 GTM推進部副部長の大畠幸男氏だ。そのため最新バージョンとなる「Dr.Sum EA Ver 4.2」では、性能の向上や機能追加よりも運用系の強化と利便性の向上に重きを置いた。BIのビジネスは好調だと語る。クラウド版のビジネスは特に好調で、対前年比で141%の成長だ。クラウドが伸びた半面、パッケージのビジネスが減っているわけではない。Dr.Sum EAのビジネスは微増傾向。Dr.Sum EAの案件は1つ1つのボリュームが大きいので、微増でもBIビジネス全体の数字を押し上げるのに貢献している。同社のBIツールの顧客数もクラウド版が237社、パッケージ版が5180社を超える規模までに増加、この顧客の業種業態などには偏りはなく幅広い顧客に使われている。

 ウイングアーク1st 営業本部 GTM推進部副部長大畠幸男氏
ウイングアーク1st 営業本部 GTM推進部副部長
大畠幸男氏

 そのような方向性で強化した機能の1つが、利用状況のモニタリングだ。これを使うことで、BIシステムの利用状況を分かりやすく管理者などに提示できる。この機能はパートナーなどのSI企業からも要望が多かったものであり、社内で継続的にBIツールを利用し日常的なツールとして定着させるのにも有効な機能だ。Dr.Sum EAは、どちらかと言えば「System of Record」の領域でデータの価値を高め、業務を効率化する役割を担うものだと言えるだろう。

 今回のDr.Sum EAのマイナーバージョンアップでは、主に運用性、安定性の向上の部分に重きを置いているが「高速性についても今後まだまだ追求していきます」とも大畠氏は語る。

MotionBoardではリアルタイム性でIoTのデータの可視化を実現する

 もう1つのBI製品であるMotionBoardは、新たなIT活用領域である「System of Engage」のところで新しいデータ活用を行うのに向いている製品だろう。そのためもあり、迅速な展開を意識してクラウドを重視している。さらには、地図データの活用なども強化してきた。

 最新の「MotionBoard Ver.5.6」ではさらに、ここ最近もっとも注目されているIoTソリューションに対応する「IoT Edition」の提供も開始する。

 「新しいMotionBoardでは、IoTを1つの基軸にしています。IoTにはこれまで、ネットワークのスピードやコストの課題がありました。それらがここ最近だいぶ改善され、データを集めるインフラは充実しています。まさにIoTを利用できる環境が整ってきたのです。とはいえ、実際にIoTでデータ活用をするとなると、まだまだ足りないものもあります」(大畠氏)

 足りないものとは、IoTから上がってきたデータを簡単に見える化するための仕組みだ。このIoTに足りていない部分に対応するために、今回ウイングアーク1stでは、IoT Editionを提供した。

 ウイングアーク1stは、単にIoT用の製品を提供しているだけではない。日本におけるインダストリー4.0の活動を推進している「インダストリアルバリューチェーンイニシアチブ(IVI)」にもサポート会員として参画。MotionBoardは、IoTから得られるデータの自動変換ツールとしてIVIで採択されている。そしてIVIのワーキンググループでは、実際にMotionBoardのIoT Editionを先行的に利用し実証実験も行っているとのことだ。

 IoTなどが登場して「リアルタイム」というキーワードがさらに重要になっている。これまでは巨大なデータベースにどんどんデータを貯め、それを後から分析して何らか知見を得るのがBIの役割だった。これはデータベース型のBIと表現できる。それがこれからは、発信された情報をどんどん見える化してから、必要なものをデータベースに蓄積し分析できるようにするように変わってきているのだ。

 また、従来の最初にデータベースにデータを貯める型のBIにおいても、いったんデータベースにデータを貯め、そのデータベースの中で何らか変化があったらそれを検知し、変更されたものをリアルタイムに可視化するニーズも出てきている。

 IoTでもう1つあるデータの可視化のアプローチはAPI型だ。「APIプッシュ」を利用すもので、これはセンサーなどの情報をAPIで直接拾って可視化する。APIを利用するので、プログラミング開発が伴うことに。そのだめ、日本ではSI企業などが案件として受注し仕組みを構築することが多い。

 3つめのIoTの可視化アプローチが、スマートフォン型だ。これは、スマートフォンのクライアントアプリケーションにエージェントプログラムを組み込んでスマートフォンが動くセンサーデバイスとなるものだ。このアプローチでは、スマートフォンのGPS機能を活用し、位置情報と併せたデータの可視化をすることになる。これら3つのIoTの可視化アプローチすべてにすぐに対応できるのが、MotionBoardのIoT Editionだ。

 「たとえばスマートフォンにエージェントをインストールすることで、スマートフォンからプッシュで情報を得られます。これで、MotionBoardとスマートフォンが直接通信する仕組みを簡単に構築できるのです。得られた情報はMotionBoardのメモリー上ですぐに展開され、見える化できます。そのデータを永続化したければ、Dr.Sum EAやOracleなどのデータベースに蓄積します」(大畠氏)

 スマートフォンから集めるデータに位置情報が入っていれば、MotionBoardの地図機能を使って簡単に地図上に情報を展開することができる。新しいMotionBoardでは、GISの機能も強化されており、最適化されたルート検索や到達圏分析、顧客が店舗で買い物をする確率を求める「ハフモデル分析」などのアルゴリズムが追加されている。地図表示だけでなく「GISの機能で一歩踏み込んだものを搭載しています」と大畠氏。

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ライバル製品と機能比較するのではなく、自分たちの製品で新たな市場開拓を

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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