SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

IT Compliance Reviewスペシャル

【事例レポート】先端企業事例にみる、事業継続とITシステム(1)~新生銀行

事業を止めない組織の条件


ITシステムは、いまや企業のビジネスと密接に関連している。ITシステムが止まれば、ビジネスが止まってしまう企業も増えている。今回は、いくつかの企業に、事業継続の対策、とくにITシステム関連の実際の対策状況について話を聞いた。 (IT Compliance Review vol.8より転載)

編集部注

 ITInitiativeの同タイトルの記事を3回に分けて掲載いたします。

はじめに

 阪神・淡路大震災が発生したのは、1995年(平成7年)1月17日火曜日、発生からすでに13年もの月日が経過した。この大災害で、じつに6400名を超える多くの尊い命が失われ、長期間に渡りさまざまな社会インフラサービスが停止し、その復旧には長い時間と多大な労力を要した。

 この大災害を経験した多くの企業は、その後はさまざまな対策を施し災害に強い企業になるべく努力を続けている。災害を直接経験してはいなくとも、不測の事態に適切に対応し事業を継続できる体質を持つことは、いまやどの企業にとっても必須と認識されている。

 不測の事態は地震などの災害だけではない。人為的なミスによる事故もあれば、機械やシステムの障害もある。いまのところ日本ではあまり実感はないかもしれないが、テロの驚異もある。

 事業継続はすべての企業が真剣に取り組むべき重要な課題ではあるが、どういった方法でどこまで対策を施せばいいかは不透明だ。ここまでやればよいという基準は、業種や業態、企業の規模などによっても大きく異なるだろう。

 また、事業継続計画の必要性は認識していても、まだほとんど対策を施せていないという企業も多い。一方、金融機関をはじめ、すでに積極的に事業継続計画に取り組んでいる企業もある。

 現状、企業はどのように事業継続計画に取り組んでいるのだろうか。

 ITシステムは、いまや企業のビジネスと密接に関連している。ITシステムが止まれば、ビジネスが止まってしまう企業も増えている。今回は、いくつかの企業に、事業継続の対策、とくにITシステム関連の実際の対策状況について話を聞いた。

完全で壊れないシステムを求めない

 新生銀行が事業を開始したのは、2000年3月、翌年6月にはパワーフレックスという総合口座を通じて新たなリテールサービスを開始する。このときから、店舗、ATM、インターネット、コールセンターと複数のチャネルを通じた、新たな銀行サービスの提供が始まったのだ。

新生銀行 佐藤 芳和氏
新生銀行 佐藤 芳和氏

 開業から本格的なリテールサービス提供開始まで、与えられた時間はほんの1年あまり。この極めて短い期間で、24時間休むことのない銀行サービスを実現する、新たなITシステムを用意しなければならなかった。

 国内において、当時は既存銀行のほとんどがメインフレームを用いITシステムを自前で構築するのが当たり前だった。ところが海外に目を向けると、銀行業務のシステムを構築するのに既存のパッケージ製品を活用している例も多い。

 システムを独自に設計し、それを一から構築して完璧に動くようテストを行う。これには、莫大な手間と時間が必要だ。新生銀行が1年という短期間でシステムを作り上げるには、海外の成功例を参考にパッケージ製品を活用するのが最善の選択だった。

 このとき選んだプラットフォーム環境は、MicrosoftのWindowsだ。ネットワークについても、専用線を用いるのではなくオープンなインターネットの活用を選択している。

 「たとえば仮にIBMのOSを選べば、IBMのハードウェアを使うことになるでしょう。Windowsを採用することで、そういったしがらみをできるだけ排除したかったのです。早く、安価にシステムを完成させるためには、Windowsベースの環境でパッケージ製品を使い、公共のインターネットを活用する必要がありました」と語るのは新生銀行執行役システム企画部長の佐藤芳和氏。

 Windows環境から始まった同社のITシステムには、現在もメインフレームは一切ないという。新生銀行は、短期間でシステムを構築するために既存のパッケージ製品を採用したが、このことが事業継続という目的にも大きく貢献することになる。

次のページ
「システムを止めない」ことではなく「事業を止めない」こと

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
IT Compliance Reviewスペシャル連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/834 2008/11/06 19:54

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング