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週刊DBオンライン 谷川耕一

IBM DB2もBluemixもWatsonのためにあり

 先日米国ラスベガスで開催された「World of Watson 2016」、Watson一色のカンファレンスではあったが、それを支えるインフラの話もあった。基調講演ではIBM Information and Analytics Group シニア・バイスプレジデントのボブ・ピッチャーノ氏から、ここ最近あまりIBMから名前を聞かなくなった気もするDB2の話題もあった。

IBM DB2もWatsonのための重要なインフラ

 ピッチャーノ氏
ボブ・ピッチャーノ氏

 「ITの価値はプロセスを効率化するだけでなく、インサイトを引き出すことも重要です。時代は今、インサイトエコノミーの大きな転換点に来ています。Watsonはインサイトエコノミーのスーパーチャージャーです。ダークデータに光を灯すことができます」(ピッチャーノ氏)

 そのための重要なインフラだと紹介されたのがDB2であり、このイベントのタイミングで新しいDB2についても発表された。今回のバージョンは「Hybrid Cloud Database」と位置づけられており、トランザクション処理とアナリティクスを1つのDB2で高性能に扱えることを特長とし「リアルタイム・アナリティクス」を謳っている。「この新しいDB2は、アナリティクスの機能もあり、IBMのクラウドから使うことができます」とピッチャーノ氏。

 このリアルタイム・アナリティクスを実現するのがHTAP(Hybrid Transactional Analytical Processing)と呼ばれる機能で、従来のIBM DB2 BLU Accelerationをベースにしたものだ。インサートの処理でおよそ2倍、リアルタイム・アナリティクスの性能は60%向上する。この機能は2016年12月から利用が可能となる。

 もう1つ新たなWatsonのためのインフラとして発表したのが、「Watson Data Platform」だ。「Watson Data Platformでは、AIの機能をアナリティクスのツールの中に内包しています。これを使って複数の、アナリティクスの専門家がコラボレーションすることができます」とピッチャーノ氏。このWatson Data Platformは、クラウドの力を使うことで、1秒間に100ギガバイトのデーを処理することができる。

 「Watson Data Platformはクラウド上に既に用意されているので誰でも使うことができます。これにより、新しいレベルで、新しいインサイトエコノミーを構築することができます」(ピッチャーノ氏)

 Watson Data Platformでは、Apache Sparkをベースにしており、その上でIBM Watson Machine Learning Serviceを動かすものだ。これにより、機械学習を直観的なセルフサービス・インターフェースを介して簡単に実行できる。「データをシンプルにしてアクセスしやすくする。そしてデータに関わり持つ世界をどう作るかを考えた結果できあがったのがWatson Data Platformです。かつては機械学習やAIをどう使うか悩んでいましたが、今ならそれが簡単に使えます。Watson Data Platformを使うことで、組織のどこにデータがあっても機械学習やAIを適用できます」と言うのは、アナリティクス製品の開発を担当するバイスプレジデント ロブ・トーマス氏だ。

 今回のWatson Data Platformは、オープンソース。ソフトウェアを活用して実現されている。「データのアクセスを変え、データとアナリティクスを組織の中で全く違ったものとして扱えるようになります」とトーマス氏。

 さまざまなデータをどのソースから引っ張ってくるか。そのときのガバナンスはどうすればいいのか。そういったことは、Watson Data Platform側で自動的に処理されるので、アナリストが心配する必要はない。

 そしてIBM Watson Machine Learning Serviceを使うことで、機械学習の専門家でなくても機械学習を使いこなすことができるようになる。「これで機械学習の民主化を行います。機械学習はさまざまな人たちが利用できるものになりました」(トーマス)

 この仕組みで高いパフォーマンスと速い処理スピードを発揮するには、クラウドが欠かせない。Watson Data Platformは、クラウドファーストでクラウド版のサービスが最初に提供される。クラウドなので、複数のアナリストなりが協働で作業することも容易となる。これにより、企業の中でアナリストの活動が孤立するという問題も解決できるようになるのだ。

次のページ
Watsonのコグニティブを届けるためにIBM Cloudはある

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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