複雑な問題を視覚化するふりかえり
前回紹介したKPTは、チームで問題を共有して次への行動を出して、実際に行動した結果のフィードバックを受けることに重きを置いたプラクティスです。
しかし実際にTryを試してみたにも関わらず、何度も同じ問題が浮上してくることがあります。このような場合には、少しずつTryを挙げて解決策を試すだけでは改善が困難なケースがあります。
また、短期的に有効なTryを挙げて実施した場合に、それが別の問題をもたらしてしまうケースも考えられます。このような場合には、複数の原因が因果関係で結びついて問題を生みだす構造になっていることが多いのです。
風邪を引いた原因は?
例えば、「風邪を引いてしまった」という現象に対して、「薬で症状を抑える」という短期的な対応策を採用するとどうなるでしょうか。一時的には、症状が改善するかもしれませんが、風邪を引いてしまったことについての根本的な解決は何もできていないことになります。
では、今後風邪を引かないようにするためにも原因を探ってみましょう。ちょっと考えると、「同じフロアに風邪を引いた人がいたから」「体調を崩していたから」といった直接的な原因が見つかるでしょう。でも、これを根本的な原因と考え、対応策を打つのは早すぎるかもしれません。
もっと考えてみると、風邪を引く直前に毎晩遅くまで飲み会に参加していたことを思い出す可能性もあります。そして、酔っぱらって帰宅した後、ワイシャツのまま毛布もかけずに寝てしまっていたことに気が付くかもしれません。すると、ちょうど季節の変り目で朝晩が寒くなってきたこともあって体調を崩してしまった、という結論にたどり着くことができます。では、これで十分でしょうか?
更に問題を掘り下げると、お酒を飲み過ぎてしまったのは、仕事のストレスが溜っていたからだということも判明するかもしれませんね。また、仕事が休日出勤が重なったために衣替えができておらず、薄着で寝ざるを得なかったことも分かるかもしれません。もしかしたら、筆者のように(笑)Webマガジンの連載コーナーを持っており、家の作業がままならないほど時間が圧迫されていた、などという問題構造が明らかになることもあるでしょう。
上述の例のように、「目に見える直接的な問題の原因の特定し、今後の対応策を考える」という単純なアプローチでは十分に問題を解決できない場合があります。この場合、問題の背景を明らかにして、根源的な原因を突きとめ、効果的な対策をとらねばなりません。