デジタルトランスフォーメーションを成功させるための組織とマインドセット
EZ編集部:デジタルトランスフォーメーションを成功させるにはどのような組織やマインドセットが必要となるのでしょうか?
甲元氏:基本的には正解はなくて、企業の文化にもよりますね。いろんなパターンがあります。いずれにしても自分たちでイニシアチブを取って進めていくのが重要です。企画だけして外部に丸投げすると、必ず失敗します。デジタルトランスフォーメーションを進める組織がイニシアチブをとることが重要です。
相澤氏:私の見た範囲ですと、CIOがマネージできているのは全体の25%程度かと思います。CIOがきちんとマネージできているところだと、ビジネス的にも成功するケースが多いです。うまくいくパターンを挙げるとすると、1つは事業サイドの中にIT部門的な役割を持つケース。明確なゴールを持ちITを回しています。後は意思決定者が少ないケース。例えばスープ専門店の「Soup Stock Tokyo」では多くの店舗を抱えていますが、IT部門は1人しかいません。開発はパートナーが多数連携しているのですけどね。そういうケースはほかにも数多く見かけます。
甲元氏:デジタルトランスフォーメーションを推進する組織にはITを理解している人が中にいることが非常に重要です。企画や概略要件だけ決めて「あとはよしなに」ではダメです。シリコンバレー企業が採用しているリーンスタートアップ手法とか自らが能動的に「デザイン思考」でITをビジネスにどのように活用するのかを描くことが重要です。プログラミングやシステム構築/運用などすべてを自分達でやる必要はなく外部パートナーの支援を求めることは良いのですが、ビジネスデザインやITの活用方針は自分たちで推進することが大事です。1人IT部門でもうまくいくと思います。ただし、実際のビジネスになると継続性も必要です。かつてのIT部門が考えているシステムの継続性とは少し違いますが、システムの長寿命化の方法や採用するテクノロジーに対して、自社の思想を持つことが重要です。自社が採用する技術を能動的に評価/選定する人がいないと効果は上がりません。後は、人数が少なくても俊敏に回していけること、デジタルチームに権限を委譲することが大事だと思います。
相澤氏:クロスファンクションチームを作っていくというイメージでしょうか。
甲元氏:クロスファンクションチームはいろいろな組織から代表者を選出する方法なので、メンバーの発言や意思は所属する組織の意向に大きく左右されてしまいます。クロスファンクションチームは見た目は少人数なのですが、実態は大きな組織と変わらないので、意思決定が遅くなることが多いのです。既存の組織から独立した少人数構成のデジタルチームに権限委譲しないとうまくいきません。小さいチームに対して、期間を区切り、予算を与えて自由にやらせる。リスクはあるけど優秀な人を送り込み、任せるということです。
相澤氏:うまくいけばチームもITリソースもスケールさせればいいと。
甲元氏:そうです。今はシステムのスケール拡大なんてボタン1つでできます。昔はハードウェアだけで数億円したり「本当に儲かるのか?」と問い詰められたり大変でしたけど。
アプリ開発を成功するために必要な最新スキル&ツールを解説!
『優れたアプリを構築するためのガイド』無料提供(全17頁、無料PDF)
本ガイドブック『優れたアプリを構築するためのガイド』(全17頁、無料PDF版)は、モバイルファーストやクロスプラットフォームアプリの構築など、優れたアプリを作成するためのトレンド、生産性ツールを使った時間を最大限に活用する方法、チームのコラボレーションを向上するためのツール、サービス、リソースなど、アプリケーション開発を成功するために必要な最新のスキル&ツールを分かりやすく解説した資料です。