3社の合同記者会見で最初に登場したのはEMCジャパン株式会社 代表取締役社長 大塚俊彦氏。同氏は「3社の最新鋭の組み合わせです」と切り出した。
それぞれの強みとして大塚氏が挙げたのは、NTTコミュニケーションズが持つ日本におけるデータセンターやネットワークのインフラ、Virtustreamが持つエンタープライズシステム向けのクラウド技術、そしてデルテクノロジーズグループが持つストレージやコンバージドインフラ技術。今回の協業はそれぞれの最新鋭を組み合わせるものと説明した。またこの協業により、コスト効率、性能、俊敏性を併せ持つ基幹システム向けクラウド環境を提供できるようになるため「エンタープライズシステムに大きく貢献できます」と胸を張った。
実際の提供開始は2017年春からとなるものの、新サービスはNTTコミュニケーションズのEnterprise Cloudで基幹システムを支えるサービスを強化することになる。具体的にはVirtustreamのソフトウェア(μVM技術)やコンバージドインフラ技術から構成された、共有型のSAPシステム向けCloudサービスとなるもよう。Virtustreamから見ると、初の日本進出となる。
NTTコミュニケーションズ 取締役 クラウドサービス部長 森林正彰氏は同社の強みとしてデータセンター、ネットワーク、クラウド基盤がそろっていることを挙げた。しかし今後追加予定の分野となる基幹システム向けクラウドサービスでは苦戦してきたという。これからよりよいサービスを提供していくためとして、森林氏は「強いものを持つところと組む」と考えを述べた。協業によって同社の弱点を克服する狙いがある。
Virtustreamは2009年設立、買収を経て現在はデル テクノロジーズ グループ傘下にある。エンタープライズ向けクラウドを提供する企業で、グループ内ではトップレベルの成長率を誇る。同社の強みは基幹システムなどエンタープライズアプリケーションに特化したクラウド技術を持つところにある。
もともと基幹システムのアプリケーションはクラウドではなくオンプレミスを想定しており、モノリシック(一枚岩)なつくりになっている。データベースが永続性を要求し、I/Oインテンシブでステートフル。こうした性質からクラウド化が難しいところ、Virtustreamはコンバージドインフラプラットフォームにてアプリケーションを管理する技術を持つ。
加えて細かく従量課金ができるμVM技術(特許済み)も特徴となる。Virtustream COO(チーフ オペレーティング オフィサー)サイモン・ウォルシュ氏によると、これまでの顧客ではプライベートクラウドや専有型クラウドと比べて3割ほどコストを抑えられているという。また災害対策を実現するには複数の離れた拠点でインフラ(インスタンス)を用意する必要があるが、Virtustreamなら必要になった時点でインスタンスを起動し、課金は起動してからとなるため、コストはより「実際に使った分」になる。ウォルシュ氏はVirtustream技術で「プライベートクラウドの利点を保持したパブリッククラウドを提供できます」と話す。
森林氏は今後提供される新サービスを「大規模SAPシステム向けクラウド基盤をパッケージ化」と述べる。ERPの高負荷なワークロードに対応し、さまざまなシナリオに対応するものとする。NTTコミュニケーションズならではのトータルソリューションとマネージドサービスを提供し、SLAは最大99.999%、データセンターは日本国内で関東と関西に設置しDRにも対応する。日本以外へのグローバル展開も検討しているという。