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ロケットから血管模型まで、3D CADで「未来の設計」ーSOLIDWORKS WORLD 2017

 3次元CAD設計/解析ソリューションを手掛けるソリッドワークスは、年次イベント「SOLIDWORKS WORLD 2017(以下、SWW 2017)」を、米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開催している(2月5日~8日)。今年で19回目を数える同イベントは、3D CAD関連のイベントとしては最大級であり、世界中から5000人以上のユーザーや、パートナーが集結する。日本からも約80名のユーザー企業やパートナーが参加。期間中は100超のパートナー企業がIoT(Internet of Things)製品のプロトタイプや、AR(拡張現実)を活用したサービスなどを展示した。

設計ミスで「クビ切っちゃいました」は許されない

会場となった米国カリフォルニア州ロサンゼルスの「CONVENTION Center」。一週間後には同会場で第59回グラミー賞が開催される
会場となった米国カリフォルニア州ロサンゼルスの「CONVENTION Center」。
一週間後には同会場で第59回グラミー賞が開催される

 1993年に設立され、1997年に仏ダッソー・システムズの傘下となったソリッドワークス。同社の看板製品である3D CADの「SOLIDWORKS」は、日本の3D CAD市場において39%のシェアを占める。3D CADは2D CADと比較すると導入実績は低いものの、「今後のイノベーションを考えれば、3D CADを導入しないことはあり得ない」(ソリッドワークス関係者)という。

 実際、3D CADは製造分野だけでなく、医療、ライフサイエンス、都市計画、宇宙開発といった、あらゆる分野で活用されている。「THE NEW. THE NEXT. THE NEVER BEFORE.」をテーマに掲げた今回のSWW 2017では、様々な分野でSOLIDWORKを活用している企業が登壇し、数多く登壇し、先進的な事例を紹介した。

 2月6日の基調講演には、ソリッドワークスの最高経営責任者(CEO)であるジャン・パオロ・バッシ(Gian Paolo Bassi)氏が登壇。「今まで存在しなかったものを創造すること。不可能だと考えられていたことを実現すること。これがソリッドワークスのコンセプトだ」と訴求した。

ソリッドワークスの最高経営責任者(CEO)であるジャン・パオロ・バッシ(Gian Paolo Bassi)氏
ソリッドワークスの最高経営責任者(CEO)であるジャン・パオロ・バッシ氏

 冒頭、ユーザー事例として登壇したのは、米国イリュージョン・プロジェクト(Illusion Projects)社である。同社は、シルク・ド・ソレイユや、マジシャンのデビッド・カッパーフィールド氏などがステージで使用する機材の制作/デザインなどを手掛けている。

 同社のファウンダーであるティム・クローサー(Tim Clothier)氏は、「華やかなステージでは美しく、かつ緻密な舞台装置/道具が求められる。舞台装置はエンジニアとアーティストと協業が不可欠だ。例えば、人間を真っ二つに切るように見せかける装置は、アセンブリ(組み立て工程)に不備があると人命に関わる。『板金が合わなかったから(人を)切っちゃいました』は許されない」と語る。

 一方、ロケット・宇宙船の開発を手掛けるスペース エックス(Space X)社は、SOLIDWORKSとダッソー・システムズが提唱する「3Dエクスペリエンス・プラットフォーム」を活用し、次世代交通システムであるハイパーループの開発に取り組んでいる。これが実用化すれば、ロサンゼルスとサンフランシスコを35分で結ぶことが可能だ。バッシ氏は「設計解析と高度なシミュレーションが一体化しているSOLIDWORKSでは、こうした開発が可能になる」と胸を張る。

デモではバッシ氏がSolidWorksで設計したギロチン装置の“性能”を、身を挺して紹介した
デモではバッシ氏がSolidWorksで設計したギロチン装置の“性能”を、身を挺して紹介した

 また、同氏はSOLIDWORKSの次期バージョンである「SOLIDWORKS 2018」に、「トポロジー最適化機能」と「デザインガイダンス機能」を搭載することも明らかにした。

 トポロジー最適とは、利用者が要件を定義し、条件を与えるだけで、安全要件と環境要件を満たしたデザインを自動生成する機能である。これまで手動で行っていた強度と重量度のバランスをコンピュータが自動計算し、最適なデザインを提案する。同機能によりユーザーは、既存のデザイン指向では思いつかないデザインが得られる。バッシ氏は、「時間短縮と生産性の向上が実現できる」と力説する。

 一方、デザインガイダンスは、設計デザインの“先”をコンピュータが予測し、微細な部分を自動的生成したり、作業のガイダンスをしたりする機能を提供するという。

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3Dエクスペリエンスとの連携メリットを強調

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この記事の著者

鈴木恭子(スズキキョウコ)

ITジャーナリスト。
週刊誌記者などを経て、2001年IDGジャパンに入社しWindows Server World、Computerworldを担当。2013年6月にITジャーナリストとして独立した。主な専門分野はIoTとセキュリティ。当面の目標はOWSイベントで泳ぐこと。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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