クラウドファーストでBCP対応を目指す
バイクや楽器のグローバルブランドとして知名度の高い「ヤマハ」。他にも災害にも強いとして注目されるスクール用の「FRPプール」や産業用の「産業用無人ヘリコプター」など、“発動機”の技術を中心としながら多方面に事業を展開している。さらに特筆すべきは、その海外での強さだろう。売上げのほぼ9割がアジアや北米を中心とする海外となっており、200を超える国と地域で事業を展開している。
そんなヤマハ発動機のデジタル戦略、IT技術戦略を支えるのが、原子氏の所属する企画・財務本部のプロセスプロセス・IT部だ。また情報システムの企画・開発・運用を担う子会社として、ヤマハモーターソリューション(YMSL)を擁し、磐田市の本社および中国やインドの拠点からグローバルなIT/デジタル戦略を支えている。
特に近年、ヤマハ発動機のデジタル戦略における重要課題の1つとなっているのが、東日本大震災をきっかけとするBCP(事業継続計画)の実現だという。南海トラフ地震など大災害の可能性が高いとされる静岡に本社を置いていること、営業・生産拠点がグローバルに広がっていることなどを鑑み、2020年を実現期日とするITインフラ領域の長期計画を進めているという。 施策においては「自社内資産所有型から外部サービスへ」を指針とし、パブリッククラウドの利用から、基盤システムの集中管理やネットワークの整備、拠点内サーバレス化やワークスタイル改革を経て、グローバルBCPを実現させようというものだ。
現在、社内システムには、NTTコミュニケーションズが提供するグローバルクラウドサービス「Enterprise Cloud」を採用し、WebサイトやDaaS(Desktop as a Service)など外部向けにはAWS(Amazon Web Services)を配している。原子氏はその選定意図を「自社内資産所有型からサービス利用型への変革を意図し、できるだけ汎用性が高いものを採用している」と語った。