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Dell EMCコンバージド製品徹底研究 ハイブリッドクラウドのメリットを最大化

edited by DB Online   2017/04/07 06:00

 EMCジャパンにはコンバージドプラットフォーム&ソリューション事業部(CPSD)がある。サーバでもストレージでもなく、コンバージド製品を専門に扱うための部隊だ。あらためてDell EMCが提供するコンバージド製品の最新状況について解説する。

そもそも、コンバージドとは?

 近年よく耳にする「コンバージド」。英語で「converged」とは「(さまざまな方向から一点に)集めた、まとめた」という意味がある。

 車でたとえるなら、自作で組み立てた車とメーカーから購入した車であれば後者のほうがコンバージドの度合いが高くなる。EMCジャパン Jinsheng Chen氏は「今どき自動車を自作する人は滅多にいないと思いますが」と断りを入れつつ、両者を比較した。自作した車であれば最大限の柔軟性と自由度があるものの、多くの専門知識が必要であるだけではなく、作業は繁雑で長時間を要する。それでも自作するのであれば「組み立てること自体を楽しむのが目的となるでしょう」とChen氏は言う。

 EMCジャパン Jinsheng Chen氏
EMCジャパン Jinsheng Chen氏

 一方コンバージドの度合いが高いメーカー車だと、安心、安全、保証つき。納車されたらすぐに使える。多くは「作る」のではなく、移動するために利用するのが目的となる。車であれば「当然」の感覚だ。

 しかしサーバやITインフラの世界は「自作」が多い。近年になりようやく「コンバージド」や「エンジニアド」など、ある程度完成した製品が出回るようになってきている。製品によりカバー範囲は異なるがラック、電源、ストレージ、サーバ、ネットワーク、仮想化などがあらかじめ設定ずみで出荷されている。

 カバー範囲が広くなるほど「コンバージド」の度合いは高まる。コンバージド製品のメリットはいくつかある。まず自作に比べてパッチ適用時に互換性で生じるリスクが低減できる。最適な形で設計してあるため、性能や可用性は最大限生かせる。完成品として出荷されているため、パーツの保守も一元的にサポートしてもらえるといったメリットが生じるなどだ。

 そしていま「コンバージド」は「ハイパーコンバージド」へと進化している。「ハイパー」とつくように、より「コンバージド」が進んだものとなる。一般的にコンバージド製品はインフラのパッケージ製品という意味合いとなる。コンポーネントレベルで見れば今までのインフラとあまり変わらないものの、メーカーの工夫により、ユーザーから見ると1つのもののように導入、運用、保守が可能となっている。

 ハイパーコンバージド製品だと一般的にパッケージ製品やアプライアインス製品という扱いになる。メーカーにより多少異なるが、SANストレージの有無がコンバージドとハイパーコンバージドの差とになる。コンバージドならSANストレージ、ハイパーコンバージドならSDS(ソフトウェア定義ストレージ)を利用したものということだ。このSDSによりサーバとストレージが一体となり「ハイパーコンバージド」になるという。

Dell EMCのハイパーコンバージドインフラはここが違う

 もう少し詳しくDell EMC製品で「コンバージドインフラ(以下、CI)」と「ハイパーコンバージドインフラ(以下、HCI)」を比較していこう。

 Chen氏は「今までのシステムは『塩漬け』運用が主流でした」と話す。一度システムやインフラを構築すると、よほどの必要性がない限り更新しない。これが「塩漬けにする」ということ。なぜなら更新のために複雑な検証や作業に工数を割くことは現場にとって「地獄」だからだ。日本だとその傾向が高いという。

 塩漬けにするのはリスクを回避するためとはいえ、更新をすることで最新の機能を利用できたり、ファームのバグによるトラブルを回避するなどのメリットがある。工数を割くことなく最新かつ最良の状態で使えればいいのだが、自作だとハードルが高かった。しかしDell EMCのCIであれば理想の「いいとこ取り」ができる。Dell EMC製品ラインアップにおいてCIは「Vblock/VxBlock」シリーズになる。

 なお同社では「Release Certification Matrix」にそって互換性の検証、検証済みのアップデート手順や作業が進められている。実際の検証はアメリカのマサチューセッツ州やカリフォルニア州にある大規模なラボ環境で行われ、その規模は半端ではない。常に検証専任のエンジニアが500人おり、アップデートするだけでも数百時間単位の時間をかけている。「とことん検証します」とChen氏は強調する。

 2015年5月にIDCが出したホワイトペーパー(※1)には「Dell EMC Vblock/VxBlock製品ではダウンタイムは96%減少し、システムの安定運用に費やす時間は41%短縮される」と記されている。

 ※1 https://japan.emc.com/collateral/vce/idc-business-value-whitepaper.pdf

 CIでも上記の通り。HCIではどうか。先述したように、HCIではSANストレージがSDSに変わる。SDSは、サーバのローカルディスクをソフトウェアで束ねて、ネットワーク越しでI/O処理を行うため、性能面がレガシーSANストレージに比べて劣ると思われがちですが、まったくそういうことはないという。実際にDell EMC ScaleIOで構築した128ノード環境において100%リードI/Oで測定したところ、3100万超のIOPSを達成した。Chen氏は他ベンダーの最上位SANストレージの「8倍」の価格性能比にあたると考えている。

「ナウ」であり「フューチャー」である

 テクノロジーやビジネスシステムのリサーチ会社「Wikibon」のレポート「Server SAN 2012-2026」(※2)では「2026年になると本番環境の9割を占めるようになる」と予測されている。これを挙げてChen氏は「SDSは『ナウ』であり『フューチャー』である」と述べる。

 ※2 https://wikibon.com/server-san-2012-2026/

 Dell EMCのHCIの特徴としてChen氏は次のような点を挙げる。

拡張(スケールアウト)が簡単

ノードを追加するだけで自動的にリソースプールを拡張できてスモールスタートが可能

省スペース、省エネ

高密度・高性能のPowerEdgeサーバを採用しているため、FCスイッチやSANストレージが不要

導入・運用がシンプル

コモディティサーバで導入も運用も簡単。専用HCIツールで運用がシンプル

安心のDell EMCサポート

24時間、365日サポート

充実の連携製品ラインナップ

クラウド製品やバックアップ製品と連携するなど、検証済みのソリューションが充実している

 実際の製品としては、中小規模向けに「VxRail」や「XC Series」のアプライアンス製品、大規模向けにはネットワークスイッチまで統合した「VxRack」のラックスケールソリューションがある。

 VxRailの特徴としてChen氏はDell EMCがプロジェクト総指揮、VMwareがシステム全体設計をしたため、Dell Technologiesというグループ企業が作りあげた「真のハイパーコンバージド」だと述べる。またラインナップも豊富だ。高密度コンピュートモデルで且つ汎用(はんよう)のGシリーズ、エントリー構成からカバーできる、Eシリーズ、GPU搭載モデルのVシリーズ、性能重視モデルのPシリーズ、高密度ストレージモデルのSシリーズなどがある。

 VxRailの特徴は、アーキテクチャの違いにもある。vSAN以外のHCIだとSDSを実装するために専用仮想マシンを必要とするが、vSANだとvSphereのカーネルに組み込まれているので専用仮想マシンを必要としない。vSphere以外のハイパーバイザに非対応となるものの、vSANだとメンテナンスが容易になり、vCenterから一元管理が可能となる。きめ細やかなポリシー管理やストレージQoSが可能となるというメリットもある。

 VxRailに含まれるツールやソフトウェアも挙げておこう。コアコンポーネントに「vSAN Enterprise」、「vCenter Server」、「vRealize Log Insight」、「vSphere(ライセンスは付属せず)」、データ保護ツールに「RecoverPoint for VMs」、「CloudArray」、「vSphere Replication」、「vSphere Data Protection」、全体管理に「VxRail Manager」、サポートツールに「Secure Remote Support」がある。さらに災害対策や任意のポイントインタイムリカバリとなるデータ保護機能などがオプションで追加できる。

 最後にChen氏は既存ユーザーからのよくある質問を紹介した。まず「大容量のファイルサーバーはVxRailに移行すべきか?」。これは「ノー」。実はHCIは大容量ファイルサーバーには向いていない。同社の「Unity(File)」や「Isilon」が向いているという。

 次に「HCI導入だけではなく、自動化やセルフサービスも実装したい」という質問に対しては「vRealize SuiteあるいはEHC for VxRailソリューションをご導入いただければ簡単にプライベートクラウドを実現できます」とのこと。もう1つ「ネットワークをソフトウェア定義するには?」という質問に対しては「VxRailはNSXレディです。NSXを導入すれば(サーバとストレージに加えて))ネットワークもソフトウェア定義にできます」とChen氏は説明する。

 Chen氏はこう力説する。「SDSは2~3年前だとサーバ仮想化の黎明期同様に『こんな技術は使えるのか?実用に耐えられるのか?』と懸念されていました。しかし今では大きく進化し、実業務に耐えられるレベルへと成熟しました。もう安心してご導入いただけます」

著者プロフィール

  • 加山 恵美(カヤマ エミ)

    EnterpriseZine/Security Online キュレーター フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。 Webサイト:http://emiekayama.net

  • DB Online編集部(ディービーオンライン ヘンシュウブ)

    DB Online編集部 翔泳社 EnterpriseZine(EZ)が提供するデータベース/データテクノロジー専門メディア「DB Online」編集部です。皆様からの情報お待ちしています。 Twitter : https://twitter.com/db_online Facebook : http://www.facebook.com/dbonline.shoeisha

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