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ビッグデータ、AI、ブロックチェーンを活用、インフラは適材適所で。みずほ銀行が取り組むFinTechの今

 ここ最近、急激に耳にするようになった言葉の1つに「FinTech」がある。これはFinance(金融)とTechnology(技術)を合わせた造語だ。今、金融業界ではクラウドやビッグデータ、AI、ブロックチェーンなどの技術を活用し、ITによるデジタル変革を積極的に推進し始めている。ガートナーが主催した「ITインフラストラクチャ & データセンターサミット 2017」(4月28日開催)では、みずほ銀行 IT・システムグループ専門役員 加藤 昌彦氏が登壇し、みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほ)の中期経営計画にある戦略の1つ「FinTechへの対応」ほか、最先端技術への取り組みについて説明した。

デジタルイノベーションに次々に取り組むみずほフィナンシャルグループ

 みずほではFinTechはIoTの一領域とみなし、新しい技術を「デジタルイノベーション」と広くとらえて取り組んでいる。デジタルイノベーションを中心に進めていく「Chief Digital Innovation Officer」を常務クラスの役員として設置するなど、組織として前向きに取り組む姿勢を打ち出している。この取り組みによりみずほが期待しているのは収益の拡大とコスト削減だ。  

株式会社みずほフィナンシャルグループ 株式会社みずほ銀行 IT・システムグループ専門役員 加藤 昌彦氏

株式会社みずほフィナンシャルグループ 
株式会社みずほ銀行 IT・システムグループ専門役員 加藤 昌彦氏

 注目している要素技術はビッグデータ、AI、ブロックチェーンの3つ。すでにいくつかの取り組みや事例が発表されている。例えばビッグデータとAIを活用したスコアレンディングモデルの構築がある。取引情報や基本属性などのデータにAIで合成したモデルからスコアレンディングを行う。すでに2016年11月にみずほ銀行はソフトバンクは合弁会社「J.Score」の設立を発表しており、現在はFinTechレンディングサービス提供を目指しているところ。実際のサービス提供開始は2017年夏を予定している。  

 ブロックチェーンのPoCも積極的に関わっている。これまでブロックチェーンは複数の方式が混在し、「開発途上」と見られていた。しかし2017年3月からIBMが「Hyperledger Fabric v1.0」をベースにしたエンタープライズ向けブロックチェーンサービスを提供開始し、みずほも本格的にブロックチェーン活用に乗り出してきている。  

 ちょうどつい最近、4月26日には、みずほ銀行は海外ITサービスプロバイダー「R3」とブロックチェーンを活用した実貿易取引の実施と効果検証に向けて協働を発表した。実際のサービス開始は2017年6月をめどにしている。輸出者は信用状などの書類を作成し、高度化スキーム上にアップロードする。書類はブロックチェーンで共有されるため、受け渡し時間の短縮かや事務効率の効率化が見込まれている。

図:現行スキームとブロックチェーンを活用した高度化スキーム 出所:株式会社みずほフィナンシャルグループ https://www.mizuho-fg.co.jp/release/20170426_2release_jp.html

図:現行スキームとブロックチェーンを活用した高度化スキーム 出所:株式会社みずほフィナンシャルグループ https://www.mizuho-fg.co.jp/release/20170426_2release_jp.html

 みずほの取り組みにはベンチャーの設立やテクノロジーを有するベンチャーと連携するものも目立つ。これは相互補完が成り立つためだ。銀行には長年培った信用力や金融ノウハウがあり、ベンチャーは革新的な技術や機動性がある。自社にはないものはアライアンスで補完している。  

 「オープン」なスタンスも特徴的だ。ベンチャーとのアライアンスのほかにも、オープンなイノベーションに取り組んでいる。例えばFinTechに取り組む企業のための拠点「FINOLAB」にラボを設置し、オープンAPIの開発や検証を他企業と行い、技術革新を加速させている。ほかにも、経済産業省と東京大学、みずほほか企業が加わり、産学連携で人工知能技術に関する取り組みにも加わっている。

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人を育て、システムも育て、インフラは適材適所で

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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