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週刊DBオンライン 谷川耕一

6年目を迎えたPGECons、本家開発コミュニティへのフィードバックも


 オープンソース・ソフトウェアのデータベース、PostgreSQLの利用が拡大してきている。Amazon Web ServicesがAmazon Auroraの「PostgreSQL-compatible edition」の提供を開始し、マイクロソフトの「Azure Database for PostgreSQL」がPaaSで登場するのも、PostgreSQLが広く使われ始めたことを受けての動きだろう。本家PostgreSQLは最新版の9.6が2016年9月にリリースされ、今年はいよいよ10.0も登場しそうだ。9.6でもパラレルクエリなどエンタープライズ用途で必要となる機能が拡充しており、いよいよエンタープライズ・レディなデータベースになった印象がある。ところでこのPostgreSQLを企業のエンタープライズ用途でより使いやすくするための「PostgreSQL エンタープライズ・コンソーシアム(PGECons)」の活動が、2017年4月に5年を超え6年目に突入した。恒例となった前年度の活動報告会が、先日都内で開催された。

9.6で確実に性能、機能が向上していることを確認

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PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム理事
小西史和氏

 現在PGEConsの正会員、一般会員は57社までに拡大している。

「今回の活動報告会には200名を超える参加申し込みがあり、そのようなところからもPostgreSQLの盛り上がりを感じています」と語るのはPostgreSQL エンタープライズ・コンソーシアム理事で日本電信電話株式会社 オープンソースソフトウェアセンターの小西史和氏。

 PGEConsの5年間の活動成果は膨大な量のドキュメントしてまとめられており、それらはWebサイトから公開されている。これまではPDF形式で公開してきたが、2016年度の活動成果は新たにHTML形式で公開されるようになった。

「HTML化で簡単に検索できるようにし、分かりやすくする取り組みも行っています。確実な活動成果を毎年出すこと、そして成果をより利用しやすくする取り組みも行い、PostgreSQLを検討する皆様に、少しでも寄与することを願っています」(小西氏)

 続いて新技術検証を行うワーキンググループ1の活動について、「PostgreSQL 9.6での性能強化と大規模DBへの適用性向上」と題して日本電気の慶松明嗣氏から報告があった。このワーキンググループでは、大規模基幹業務に向けたPostgreSQLの適用領域を明確化し、最新の9.6で特に性能面がどのように進化したかの検証が行なわれた。

日本電信電話株式会社 オープンソースソフトウェアセンターの小西史和氏
NEC 慶松明嗣氏

 これまでもこのワーキンググループでは新バージョンの登場に合わせテーマを決めており、机上だけでなく1ヶ月ほどの時間をかけ実機検証まで行っている。結果のデータをメンバーで共有し、さらにPostgreSQLの内部構造まで調査して課題や問題の洗い出しを行っている。

 2016年度の活動テーマは、スケールアップ検証の定点観測、パラレルクエリの実力検証、レプリケーション方式の違いによる性能比較、JSON/JSONB型の適切な使い方調査、全文検索におけるインデックスの比較、VACUUM改善の定点観測となった。これらに6企業のメンバーが参加し、検証を行った。スケールアップの検証では、192コアの環境のベンチマークで36,300TPSを記録したとのこと。読み込み系の処理では9.5に比べ46%程度の性能向上があり、9.6になり多コアの環境においてクライアント数が増えても性能が上がることが確認された。

 さらに更新系の処理ではスループットのピーク値が30%程度向上し、9.5では96コアくらいで頭打ちだった性能が、192までリニアに向上している結果も得られている。慶松氏によれば、これらの性能向上でCPUの利用率も良くなり、またロック競合の改善が性能を良くすることに寄与していると考えられるという。

 9.6の目玉機能でもある、パラレルクエリの検証では、並列度40で約25倍の性能向上を確認したとのこと。また、パーティショニングで分割した際の性能を検証し、パラレルクエリがパーティションの弱点を補完しているとも言う。そしてパラレルクエリを効率的に利用するためには、IOボトルネックが発生しない構成をとることが理想的だとも指摘した

 慶松氏は2016年度の活動を「検証を通してPostgreSQLが時代に即した高性能化をしていることを実感しました」と振り返る。そしてワーキンググループでは、PostgreSQLの性能について内部構造にまで踏み込んだ中身の濃い議論できたとのこと。

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移行のための工数やコストにも着目

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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