OJTの成否を大きく左右するのは事前の準備です。研修期間に突入する前に、新入社員に習得させたいことを明確化し、周囲のサポート体制を固めておくことが重要です。今回は、OJTの育成計画作成のポイントを解説します。

準備は成功の鍵を握る
「客先を訪問してヒアリングする」という予定があったら、それまでに何をしますか? 例えば、訪問の目的を確認するとか、客先の業種や会社情報を調べておくとか、それなりの準備をするのではないでしょうか。

事前に準備をしておかなければ、的外れなヒアリングになってしまう危険性がありますし、失敗する不安もつきまといます。一方、きちんと準備をすれば、分からないことは調べられるし、相手からどこまでの情報を得たら良いか分かります。結果として効率よく、的を射たヒアリングができます。準備したことで不安感を減らすこともできるのではないでしょうか。
「事前に準備ができているかどうか」は、何事においてもその成否を左右する大きな要素です。OJTも事前準備が成功の鍵を握ります。

OJTもプロジェクトと考えるべし
さて、OJTにおける事前準備とはどんなものでしょうか。システム開発を例に使いながら考えてみましょう。開発を始めるにあたっては、「Q(品質)」「C(コスト)」「D(納期)」を顧客に指定してもらう必要があります。
「どんな仕様を求められているのか」「どのくらいコストをかけられるのか」「いつまでに完成すればよいのか」といった要件を提示されず、「適当にやってよ」と言われたら困惑してしまうのではないでしょうか? 本当に適当に開発してしまえば、度重なる仕様変更、手戻り、請求できないコストの発生など、たくさんのトラブルが発生することが容易に想像できます。
OJTも同じです。OJTという育成プロジェクトにおける要求仕様(Q)、コスト(C)、納期(D)が分からないままでは、何をどうしてよいのか分かりません。そうなると行き当たりばったりで育成を進めなければいけなくなります。OJTも、育成というプロジェクトなのです。開発プロジェクトと同じように準備をしましょう。

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森 美緒(モリ ミオ)
グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社 ビジネススキルグループ 人材教育コンサルタント。ヒューマンスキル研修講師を担当。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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