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クラウドを使うだけではない、真のデジタルトランスフォームとは?

 本セッションのテーマはハイブリッドクラウドだ。今回新たに紹介されたのはパブリッククラウドサービスのMicrosoft Azureと、その環境と関連サービスをオンプレミスに展開可能にするMicrosoft Azure Stackだ。

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クラウドネイティブの企業と互角にビジネスをするために

デル株式会社 インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 ソリューション本部 シニアビジネス開発マネージャ 増月孝信氏
Dell EMC 
インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 ソリューション本部 
シニアビジネス開発マネージャ 増月孝信氏

 Dell EMC インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 ソリューション本部 シニアビジネス開発マネージャの増月孝信氏は「ITのトランスフォームにおける大きなトレンドとして、クラウドが来ています。ただ我々の視点として、単にオンプレにあるアプリケーションやサービスを仮想化環境やクラウドに動かすだけ、というのは本来の本質的な部分ではないと考えています」と語る。

 Dell EMCがグローバルで、1000人のエグゼクティブに「ビジネスを行うにあたり、どういったことに脅威を感じているか」というサーベイを行ったところ、約8割から「自動車配車のUberや映像ストリーミング配信のNetflixのような新興企業」というフィードバックを得た。

 既存のサービスをWeb上に移管しただけではなく、全く新しいビジネスモデルを打ち出したクラウドネイティブの企業が出て来て、どんどん付加価値をつけている状況を、非常にシビアに考えていることが分かる。

 「ですから投資という視点で考えると、効率を考えてきたITトランスフォームから、次のステップであるデジタルトランスフォームへ向けて大きく加速されるとみています」(増月氏)。

 そこで重要になってくるのは、既存のプラットフォームから新しいものへの変換だ。「そこでマスト(必須)となるキーワードがハイブリッドです。避けては通れません。先にオンプレやパブリッククラウドから始めても、最終的にはハイブリッドクラウドの世界を無視して、色々なビジネスをするというのは、非常に難しいと考えます」(増月氏)。

 ITとデジタル機器の発展により様々なことが便利になり、自分たちが生活の中で使っている環境が、そのままビジネスでも使えることへの期待が高まっている。セキュリティの観点などの課題を抱えつつも、常にサービスが使え、自分が期待するレスポンスで色々なことができ、さらにもっと賢いサービスであってほしいというわけだ。

 「その期待に既存のアプリケーションやサービスの形態で応えるのは、現実的な世界ではありません。まったく新しい方法論が必要になってきます。プラットフォームも大きく変換しなければならない。今、そういう流れなのです」(増月氏)。

パブリッククラウドをオンプレ環境で―Azure Stack

 90年代、CPUが1個しかなかったのが2つ、3つとなり、CPU内のコア数も増え、スレッドという概念が出てきた。当時オペレーティング・システムを販売している会社にいた増月氏は、OSやアプリケーションがその進化に対応する書き換えを迫られる状況を目の当たりにした。

 ベンダーの反応は「とんでもない、今まで投資したものを捨てるなんて考えられない」。しかし実際には対応せざるを得なかった。

 「そうした大きな流れが今、まさにクラウドの世界で起きていると感じ取って頂ければと思います」(増月氏)。

 そこで重要なハイブリッドクラウドというところで、プラットフォームではどのようなアプローチがあるのか。その中の解の一つが、Azure Stackというわけだ。

 では、全く新しいビジネスモデルを生み出しているクラウド ネイティブとは、どういうものか。たとえば動画配信サービスのNetflixは、小さな単位のサービスを数多く立ち上げるマイクロサービスで構築されている。そのサービス数は500以上だ。Uberも百数十といわれている。

 「何が良いかというと、スピード感が全然違います。新しいサービスを提供しようとしたとき、小さなチームによるプロジェクトで、どんどん立ち上げることができる。セキュリティという観点では、一つのサービスに何らかの障害が起きても、影響が出るというのは局所的に済むというメリットがあります」(増月氏)。

 次のステップとして、そうしたアプリケーション構築手法が、ハイブリッドの環境で動くというところが非常に重要になってくる。つまりオンプレで作ったサービスがパブリッククラウドでそのまま稼働し、その逆も可能な環境が現実的になろうとしている。

 本セッションのメインテーマであるAzure Stackは、Microsoftの環境でハイブリッドクラウドを実現するアプローチとして、Dell EMC World 2017で発表された。

 Azure Stackについて増月氏は「すごく乱暴な言い方をすると、パブリッククラウドで動いているAzureを、ファイアウォールの中のオンプレの環境の中に同じ環境を作るソリューションです」と説明する。

 細かい話をすれば、パブリッククラウドのAzureの方が進化が早いので、サービスの中身など、同期の問題というのが発生する。ただ基本的に、Azureと全く同じものがオンプレの環境で使えると考えていい。

 「重要なのは、Azure StackはMicrosoftがデザインし、アーキテクトを作っているのですが、彼らは、Windows Serverのようにソフトウェアだけで販売する、というビジネスではなく、インテグレーテッドパートナーとビジネスをやる、という発表をしていることです。そのパートナーの一社としてDell EMCが入っているのです」(増月氏)。

 パートナーは最初にDell EMC、HPE、レノボの3社が発表され、実際の開発が進んでいる。その後シスコが参入と発表し、現在5社となっている。

 またAzure Stackはインテグレーテッドシステムということで、Dell EMCなどの工場で組み上がったアプライアンスとして提供するという形態となる。

 パブリッククラウドのAzureにはコンポーネントのデプロイ、管理、監視を一括で行うAzure Resource Managerというツールがあり、それをAzure Stack上でも使用できる。そこで実際、開発されたアプリケーション、テンプレートなどをすべて共通化することができる。管理者の立場でいうと、全く同じ様な操作環境で管理することが可能だ。つまり、非常にシームレスな連携が取れるということだ。

 またAzureのサービスは、単純なIaaSだけでなく、PaaSやMarketplaceなど様々な形でソリューションベンダーが提供するサービスが乗っている。それがAzure Stack上でも乗ってくるというのが、もう一つの大きなメリットになる。

Azure Stackの3つのキーワード

 増月氏はAzure Stack導入におけるキーワードとしてスピード、セーフ、スケールを挙げる。

 まずセーフだがマイクロサービス、ある意味DevOps的に新しいサービスをどんどん立ち上げるとき、従来の開発におけるスピード感とは違ったものを実現可能になる。

 ただ、たとえばものすごくスピードの早いスポーツカーでも、安全性が損なわれたら意味がない。そこでセーフティ(安全性)にも非常に注力している。さらにオンプレとパブリッククラウド間で、スケーラビリティを実現できるのがポイントになる。

 Azure StackはMicrosoftがアーキテクトをデザインし、ハードウェアの構成やスペックなどが決められている。だからたとえばDell EMCとHPE、レノボの比較において、ハードウェアの性能だけで見ると、あまり差別化要素は無い。逆に制限事項も同様だ。

 では今後、ビジネスを展開するときに、どういう所がポイントになるになるのか。

 まずDell EMCとマイクロソフトとの共同開発は、今回のAzure Stackに始まった話ではない。実は2014年に共同で開発したAzureベースのプラットフォーム「Microsoft Cloud Platform System Standard」を発表している。

 この製品、開発開始当初は色々なベンダーが入っていたのだが、開発コストの問題などの事情で、Dell EMC以外はすべて降りてしまったという経緯がある。「Azure Stackの前に、Azureベースのソリューション展開をしていて、大きな実績を背景にしている、という、メリットがあります」(増月氏)。

 2017年3月、野村総合研究所とDell EMCが、グローバルマーケットに対してAzure Stackをベースに、マルチクラウド統合管理プラットフォーム「mPLAT Suite」で協業することが発表された。

 「AzureとAzure Stack上での管理というのは、マルチクラウドという観点で見ると、非常に同じようなGUIでも、全く同じようには運用できないという問題があります。その管理を一つの管理ツールとして束ねることができるメリットがあります。さらにアプリケーションサービスまでのモニタリングとか、ジョブコントロールという形の機能までも網羅した管理ツールというのが、このmPLAT(エムプラット)が提供する部分になります」(増月氏)。

 さらにAzure Stackだけでなく、Windows Server のSTORAGE SPACE DIRECT (S2D)などにも使え、AWSでもサービスが立ち上がっている。「マルチクラウドといったところでの非常に強みがあると見ているのです」(増月氏)。

 実際の他社との違いだが、まずDell EMC独自のハードウェアの監視機能とAzureの監視機能との連携をインテグレートし、提供する形になっている。またAzure Stackにはインフラのバックアップ機能はあるのだが、テナント間のバックアップ機能というのは、最初のGA:General Availabilityでは提供されない。Dell EMCの場合、データ保護ストレージのData Domainや、Data Protectionソリューションをオプションとして提案することができる。

 その他にもPivotal Cloud Foundryなど、Dell EMCは、様々な付加価値の付け方を持っている。「Azure Stackそのもので提供できない部分を我々が補完して、色々な形で差別化できると考えています」(増月氏)。

 増月氏は最後に「現時点で、シングルノードで実際にテストができる体験版が提供されているので、そこでの評価をぜひ検討していただきたい」と述べ、セッションを締めくくった。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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