EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

テーマ別に探す

(第16回)  アイデア選択は「イノベーションの可能性」の選択-プロトタイプ作成前にやるべきこと

  2013/11/18 08:00

 前回の記事では、どうやってアイデアを生み出し、多くの選択肢を創造するかについて紹介した。今回は「アイデア選択」について紹介したい。ポイントは、多様な視点が含まれたアイデアを選ぶことで、イノベーションの可能性を保つことである。具体的に有用性・実現性・革新性といった異なる視点を取り上げたい。

実現性ではなく「イノベーションの可能性」

 解決すべき課題に対して多くのアイデアを出したあとは、イノベーションの可能性が高いアイデアを選んでいく。アイデア出しでは評価・判断を避けていたが、この段階からアイデアを積極的に評価する。ここでの目的は、「プロトタイプをつくるために、解決策のコンセプトを定めること」にある。

 アイデア選択でよくある間違いは、オペレーティブな通常業務に求められる基準のみで、アイデアを選択してしまうことだ。すると、典型的にはこんな発言が出てくる。「そのアイデアは厳しいな。今ある自社のリソース(人や技術)では実現できるかどうか怪しい。やめておくのが懸命だ」

 このような考えでアイデアを選んでいくとどうなるだろう?毒にも薬にもならない平凡なアイデアを残すだけに終わる。「観察やインタビューをしてインサイトを探求した。そして、日常の延長ですぐに思いつくようなアイデアが採用された」。これでは時間をかける意味がない。アイデア選択の段階で、実現性だけで判断を下してしまうと、これまでのプロセスが無駄になる。

アイデア選択とプロトタイプ作成のプロセス
図1:アイデア選択とプロトタイプ作成のプロセス

 アイデア選択で守るべきは「イノベーションの可能性があるものを選ぶ」という原則だ。以前の記事でも記したように、イノベーション実現には多様性が欠かせない。単一な視点しか含まれないアイデアは、イノベーションの可能性が低い。逆に、アイデアに多様な視点が含まれていれば、イノベーションの可能性があるといえる。

 まずは、多様な視点が含まれた可能性のあるアイデアを選ぶ。そして、次のステップでプロトタイプをつくり、その過程の中で試行錯誤しながら可能性を発展させる。アイデアが形になりそうかどうかの判断は、プロトタイプを作ってテストをしながら行うようにしよう。

 次のページでは、具体的にどのような視点を含めるべきかについて例を紹介したい。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。






著者プロフィール

  • 柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

    岡山県出身。専門はイノベーション・プロセス。スタンフォード大学d.schoolでイノベーション手法:デザイン思考を学ぶ。同大学発行の『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド』監訳など、デザイン思考関連教材は公開6ヶ月でダウンロード5万件。岡山大学大学院で3年間教鞭を執った後、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)を拠点にイノベーション教育の研究と実践に専念。デザイン思考を活用したワークショップ開催や企業向けの教育プログラム開発・研修を行う。一般社団法人デザイン思考研究所代表理事所長。 ・個人サイト http://kashinotakanori.com/   【一般社団法人デザイン思考研究所】 イノベーションの研究と実践を通じ、世界に向けて新たな社会の潮流を創り出すための組織。イノベーション・ツールの1つ「デザイン思考」の普及活動に取り組む。スタンフォード大学d.school発行の『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド』等、翻訳編集した関連教材は公開6ヶ月でダウンロード5万件超。イノベーション実践のためのワークショップ開催や、企業向けのイノベーション教育プログラムを提供。対象はベンチャー企業や上場企業、非営利法人など幅広い。10年後の社会を見据える組織と人のために、質の高い学習環境を提供することを目標とする。 【無料教材】 『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド』 【Facebookページ】 一般社団法人デザイン思考研究所 Facebookページ

バックナンバー

連載:組織的なイノベーション、道具としてのデザイン思考

もっと読む

All contents copyright © 2007-2020 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5