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週刊DBオンライン 谷川耕一

Oracleが行うナッジで地球温暖化を防ぐための実証実験とは

 いつの間にやらサンマの産地は北上して北海道になっている。そのサンマも、今秋は不漁のようであまり美味しいものに出会っていない。さらにサケも不漁で、イクラなども高騰しているようだ。サカナの生育場所の変化以外にも、夏の異常な暑さや台風などの災害の多さなどなど、地球温暖化なのか異常気象なのかを実感することがしばしばある。これを何とかしようと、今月15日からはドイツのボンで国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)が開催されている。異常気象による災害などは深刻化しているのだが、各国の足並みは揃っているとは言いがたいのが現状。2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」から、トランプ政権になった米国は離脱を表明している。気候変動には国境は存在しないので、力のある大国を中心になんとか良い方向に進むよう各国が協力して欲しいところなのだが。

小さなきっかけから生活行動を変化させる取り組み

 さて日本の政府も、環境省を中心に地球温暖化対策にはもちろん取り組んでいる。さまざまな施策の中には規制など大きな枠組みのものもあれば、国民の日常生活を少しだけ変え徐々に良い方向に向かうようにする小さな取り組みもある。そんな小さな取り組みの1つに「平成29年度 低炭素型の行動変容を促す情報発信(ナッジ)による家庭等の自発的対策推進事業」がある。

 この事業の委託を受け、日本オラクルと住環境計画研究所が、北海道ガス、東北電力、北陸電力、関西電力、沖縄電力のエネルギー事業者5社と協力し実証実験を行うとの発表が先日あった。環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 地球温暖化事業室 室長の水谷 好洋氏は、COP23などの開催で国際的な議論が活発化する中で、日本でこういった行動を発表できることを喜ばしく思うと言う。温暖化対策技術を開発しそれを使ってもらうことも大切だが、国民1人1人のライフスタイルを変えていくことでパラダイムシフトが起こせるはずだとも。

 日本の多くの国民には「節約」の意識が元々あるだろう。なのでこれまでも自発的に省エネ行動をとっている人も多い。そんな日本の日常の生活スタイルを少しずつ変化させて、さらに低炭素型の社会にしていくのだ。一方欧米などでは、こういった生活スタイルを変えていく取り組みを、政府主導で行うことが多いようだ。

 今回の実証実験は、そういった欧米の取り組みを模したものと言えそうだ。「ナッジ( nudge)」とは、ノーベル経済学賞の受賞で着目されている行動経済学の理論で、ちょっとしたきっかけから消費者に行動を促す手法のこと。今回の実証実験でもちょっとした仕掛けで、環境や健康に良い行動をとるように人々を後押しすることになる。

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日本オラクルと住環境研究所の取り組み

 今回委託された対策事業は、今年度から5年間の計画で実施される。今年度は4つの事業が採択されており、そのうちの1つが日本オラクルと住環境計画研究所との取り組みだ。実験で終わらせずに効果を確実に実証し、それを日本に定着させていくことが期待されている。

 実際こういったナッジによる取り組みは海外で先行して実施されており、米国での省エネ行動では5年間で100倍の効果を上げている例もあるとのこと。この方法はどんなものかと言えば、「ホームエネルギーレポート」を各家庭に配るという、情報に基づく施策だ。他の家庭と競わせるといった、ゲーム理論なども取り入れた施策があるようだ。今回日本においても、同様に情報に基づく施策を実施する。

 すでに今回とは別に、ホームエネルギーレポートを提供する取り組みは北陸地方で実験をしたことがある。この時は2ヶ月間しか行わなかったが、1.2%のエネルギーの削減効果があったようだ。小さな数字だが、継続して積み上げていけば、元々節約傾向にある日本の省エネ化はあっという間に世界トップクラスになるとも予測できる。

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欧米ですでに実績のあるOracleの取り組みを日本流に

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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