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「新大統領の下でパリ協定に復帰すればよい」―アル・ゴア氏講演にスタンディング・オベーション

2018/10/17 06:00

 先日サンフランシスコで開催された「Dreamforce 2018」では、第42代米国大統領ビル・クリントン政権で副大統領として活躍したアル・ゴア氏が、「The Global Sustainability Revolution」というタイトルで講演を行った。ゴア氏は地球規模の気候変動に対し、人々が今、行動を起こさなければならないと警鐘を鳴らした。

 今回のDreamforceでは、初の気候に関するセッション「CLIMATE(気候) Summit」が行われた。また2018年9月13日には、Salesforce.comが過去最大の再生可能エネルギー契約を締結したことも発表しており、2022年までの100%再生可能エネルギー化に向け同社は本格的な取り組みをスタートしている。この発表は9月12日からサンフランシスコで開催されていた「グローバル気候行動サミット」に合わせたもので、Salesforce.comはこのイベントの主要なスポンサーでもあった。

 ゴア氏と言えば、「情報スーパーハイウェイ構想」が思い出される。彼のこの提言で、インターネットが急激に普及したとも言われている。そしてもう1つ有名なのが、環境問題への積極的な発言だ。彼が行った地球温暖化問題に関する講演をドキュメンタリー化した映画「不都合な真実」は、世界中で大きな話題となった。このような環境問題への積極的な関わりは、ゴア氏のライフワークにもなっている。ゴア氏は世界中で発生している異常気象による大規模災害の様子を、これでもかと会場に映像で示し、地球環境が置かれている状況を説いた。以下、抜粋でお届けする。

アル・ゴア氏
アル・ゴア氏

"技術の進化により世界的に貧困は減少傾向にあります。しかし気候変動による危機で、それが逆行するかもしれません。今日、人類の多くが都市部に住むようになり、70%くらいの人々が都市部に集中しています。またグローバル経済は欧米先進国中心から中国などの存在などが大きくなり、これまでとは様相が大きく変わっています。このような変化の中で、人類は地球上のさまざまな資源を消費してきました。

 人類はこれまで石油資源に依存してきました。その結果CO2排出が増え、気候変動という予測できない事態が起きています。他にも森林や土壌、海洋などの自然環境が脅かされています。たとえば海洋プラスチックの量は、海に生息している魚の量より増えるとの予測もあります。また、地球上の人口はここ100年くらいで大きく増え、増えた人たちが利用する技術が大きく進化しています。しかしながらそれが利用されるのは、地球上の極めて狭い範囲に限られてり、この大きな偏りが、気候の危機の原因にもなっています。

 地球は、非常に薄い殻で覆われています。この殻は想定よりも遙かに薄い。さまざまなガスが放出され、熱も排出されています。森林を燃やす、ゴミの中からメタンガスが出てきます。それ以外にも多くのCO2の発生源があります。化石燃料の燃焼により発生する温室効果ガスの影響は極めて大きいです。

 地球上では、毎日原子爆弾が爆発しているくらいの膨大なエネルギーが放出されています。そのため、猛暑日が続き、高齢者や新生児など弱い存在が影響を大きく受けています。アラビア半島にあるオマーンでは、最低気温が43度までしか下がらない日があったり、シベリアで通常よりも22度も気温が高い日があったりします。さらに北極でも気温が上昇し氷が融けています。赤道付近で気温が1度上昇すると、その2倍から4倍の影響が極地では起きます。

 気温が上がると、地球上の風の流れも変わります。その結果、科学者も驚くような状況が起きています。たとえば、北半球なのに南のほうが北よりも寒い状況が生まれ、暖かい風が北極の周りを渦巻いているのです。そうなると海面上昇がかなり速いペースで起き、海洋面積が増えることでさらに熱エネルギーの多くが海面に行ってしまいます。そして海洋面の温度が上がると巨大なハリケーンや台風が生まれます。これらは風も強く、1000年に1度しか発生しないような大量な雨が降ったりする地域も出ています。

 毎日の世界のどこかで災害が起きており、それが毎晩のニュースで報道されています。この気候の危機は、地球環境の体系的なものが崩れた結果です。海洋温度が上がり水蒸気がかなり増えています。実際、世界中で降雨量が増えており、1980年代よりも今は4倍もの雨が降っているのだ。今日もどこかで災害が起きており、それが一般化しているのです。そして起きている災害のレベルは、これまでよりも遙かに大きくなっているのです。

 これらの災害は、米国では国防やセキュリティ機関においても重要な課題であり、他にも国の安全を脅かすものと認識され始めています。自然災害を引き金にした疾病も増えており、異常気象で十分に作物が採れなくなり難民も増えています。当然ながらこの気候の危機は、世界経済にも極めて悪い影響をおよぼしています。

 これらの気候危機が示しているのは、人類が今変わらなければならないということです。既にいくつかの変化は起きつつあります。その結果、右肩上がりで増え続けていたCO2の排出量は少し平坦化しています。CO2排出量削減のために、行動を始めている国もあります。たとえば、アイルランドは化石燃料への投資から撤退する法案を可決し、再生可能エネルギーにシフトする世界で最初の国になると宣言しました。

 再生可能エネルギーで、さまざまな革命が起きています。石炭や石油ではなく、さまざまな再生可能エネルギーが利用されています。太陽エネルギーは大きく増え、風力発電のコストも下がっています。結果、風力発電容量は世界中で大きく増加し、技術の進化がこれらを牽引しています。再生エネルギーに資本がどんどん投入され、米国でも石炭発電がなくなり太陽光発電が増えています。実は中国でさえも、再生可能エネルギーの割合が半分以上に増えてきており、インドでも3分の2が太陽光と風力による発電へと変わってきています。

 またインドでは2030年までにガソリン車を辞めることも決めており、多くの国においてエンジンで動くクルマを辞める動きが出ています。この動きに対し、自動車メーカーはビジネス方針の転換を決めています。大きな規模で、持続可能な成長のための変革を起こさなければなりません。"

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著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター ブレインハーツ取締役。AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに、その後雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在は、オープンシステム開発を主なターゲットにし...

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