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Oracle スティーブ・ミランダ氏インタビュー SaaSにAIが組み込まれ、人間のデジタル・アシスタントになる未来がきた

edited by DB Online   2019/04/02 06:00

 Oracleでは、AIをSaaSに組み込むことに力を入れている。2019年3月19日には「Oracle Enterprise Resource Planning (ERP) Cloud」と 「Oracle Enterprise Performance Management (EPM) Cloud」に新たにAI機能群を追加したことを発表した。このAI機能は機械学習技術をベースとしており、経費レポートやプロジェクト管理におけるデジタル・アシスタント、購買支出や経費精算におけるプロセス統制監視、プロジェクトと連動したサプライチェーン・マネジメントのリスク管理などをインテリジェント化する。

SaaSにAI機能を積極的に組み込む

 Oracleでは、汎用的な個別のAI機能を提供するのではなく、アプリケーションの中ですぐに恩恵を受けられる機能としてAIを組み込んでいる。これにより新たな便利な機能を、AIを意識せずにユーザーは継続的に利用できる。Oracleでは基本的に四半期に1回のペースで製品アップデートを行っており、今後は継続的に最新のAIの恩恵をユーザーが受けられることになる。

 新しい「Oracle ERP Cloud」では、デジタル・アシスタントや自然言語処理、ブロックチェーン、IoTなどをアプリケーションの中ですぐに活用でき、日常的な業務の中でコスト削減やリスク統制、生産性向上などが実現できる。たとえば「エクスペンス・レポーティング・アシスタント」機能では、経費項目を自動認識し自動で分類してマッチングさせられる。エンドユーザーは、領収書の内容などを音声アシスタントやメール、SMS、Slackなどを用いて、Oracle ERP Cloudのデジタル・アシスタントとやりとりして適切に入力できる。デジタル・アシスタントは領収書の内容を学習し、経費項目の自動分類を行いポリシー違反などのチェックも実施する。

 「アドバンスト・アクセス・コントロールズ」の機能では、AI技術を活用したセキュリティ分析により、事業にかかわるデータを盗難や不正行為から保護する。この機能では、データの取り扱いの状況をグラフなどで可視化し、見つけにくいリスクを容易に発見できるようにする。また企業におけるデータアクセスポリシーやデータプライバシー、職務分掌のベストプラクティスが含まれているので、ユーザーの役割、権限、設定やトランザクションに違反がないかをアプリケーションが常に監視する。

 OracleではOracle ERP Cloud、Oracle EPM Cloudの他にも、Oracle HCM CloudやOracle Customer Experience(CX) Cloud、Oracle SCM Cloudにも積極的にAIを組み込んでいる。Oracle HCM Cloudでは、求職者、リクルーター、人事担当者、マネージャー、従業員といった社内外のさまざまな立場のユーザーに、パーソナライズされ変化するユーザー体験を提供することになる。またCXの領域でもAIを使った予測機能で、将来の顧客状況を見ることができるなどの機能強化が図られている。

AIで日々の業務をインテリジェント化しさらに会話型のインターフェイスも実現

 このようにアプリケーションに積極的にAIを組み込むOracleのSaaSの戦略について、アプリケーション製品開発担当EVP スティーブ・ミランダ氏に話を訊いた。

Oracle アプリケーション製品開発担当EVP スティーブ・ミランダ氏
Oracle アプリケーション製品開発担当EVP スティーブ・ミランダ氏

Q:3月19日のSaaSに対する一連のアップグレードの発表は、単なる機能アップグレードとして位置づけられるものではなく、Oracle Databaseのオートノマス化に匹敵するような大きなターニングポイントとなるものでしょうか?

ミランダ氏:先週の発表の意義としては、AIや機械学習が本格的にCRMやERPに組み込まれることになったというものです。ここには2つの意味があり、1つは既存のAIや機械学習の機能がより強化されたことです。たとえばHCMでは、人材を探す際に蓄積された過去の働き方の情報から、AIを使って最適な候補者を見つけられます。またバックオフィス業務のところでは、機械学習を使って監査を正確に行い、また支払いタイミングの最適化なども可能にしています。CRMでは売上げを拡大するために、次なるベストなアクションを営業担当者にアドバイスできるようにもしました。

 2つ目のAIを組み込んだ効果は、ユーザーインターフェイスのところでしょう。デジタル・アシスタントやAIボットがその顕著な例です。デジタル・アシスタントでは対話型のやりとりに対応し、ユーザーは人と会話をするようにCRMやERPのアプリケーションが利用できるようになります。Alexaなどを使い、音声でアプリケーションを利用できるのです。

 これからもアプリケーションは、機械学習により大きく変わっていくでしょう。これまでのアプリケーションは、データを入力し検証するためのものでした。そういった役割はこれからも続きますが、それに加え機械学習を使ってアプリケーションがさまざまな業務のガイダンスができるようになります。そういう意味では、今回の更新は大きなマイルストーンと通常の機能アップグレードの中間くらいだと言えます。単なるアップグレードではなく、機械学習機能のユースケースの数がかなり幅広いものとなっています。Oracleでは今後も顧客から学んで、さらに機能を改善していきます。

Q:ここ最近クラウドの利用形態としては、ハイブリッドクラウドが現実的だと言われています。とはいえ、一連の発表を見ているとSaaSの優位性が大きく前面に出ており、Oracleではアプリケーションに関してはSaaSによる提供が理想だと考えているのでしょうか?

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著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジ...

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