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デジタル化する社会では、データリテラシー向上がイノベーションの要──ガートナーが語るCDOの役割

edited by DB Online   2019/09/25 07:00

  ガートナーはデータとアナリティクスが、デジタル社会における新たな中核的な能力だと言う。そのためには、デジタル社会において重要な新しい能力である「言語としてのデータ」をどう使いこなしていくかが重要となる。データを企業の中の共通言語にするために何が必要なのか。またそれを牽引するチーフ・データ・オフィサー(CDO)とは一体どのような役割となるのか。Gartner Vice President Data and Analyticsのバレリー・アー・ローガン氏に話を訊いた。

データを企業内の共通言語にする

Gartner Vice President Data and Analytics バレリー・アー・ローガン氏

Gartner Vice President Data and Analytics バレリー・アー・ローガン氏

Q:
データを企業における共通言語にしていく。そのために現場レベルの人たちのデータリテラシーを向上する必要があるのはなぜですか。

ローガン氏
確かに企業の中でデータを共通言語にするには、現場の担当者にもリテラシーが必要です。とはいえデータに対するリテラシーは、今は仕事上だけでなく生活のあらゆる面で必要です。データは今や社会の基礎です。これは識字率を高めるのと同様なのです。今後のデジタル社会においては、データリテラシーが生活していく上での基礎となるのです。

たとえば小売店の販売員でもクルマのドライバーでも、どのような仕事をしていてもデータリテラシーは必要です。それがなければ質の高いデータを提供する側になれません。さまざまな生活、仕事の現場から多様なデータが生まれています。その精度と質は、デジタル社会では重要です。

Q:
さまざまな人がデータリテラシーを持たなければならない中、特に企業の経営層が持つべきデータリテラシーとはどのようなものですか。

ローガン氏:
もっとも必要なのは、言語としてデータを認識することです。そのためには用語をマスターしなければなりません。これは基礎的ではありますが、つい忘れてしまいがちです。

言語としてデータを扱うには3つの要素があり、ガートナーではVIAモデルと呼んでいます。VがValueで価値や仕事の成果です。IはInformationで情報、どういったデータがどういった性質を持っているかを理解しておく必要があります。3つ目がAでこれはAnalytics、分析です。どのような手法を用いるかを理解します。簡単なものではグラフの違いなどをきちんと理解することで、難しいものでは機械学習のアルゴリズムがどんなものかを理解することです。

VIAモデル
ISLの基本語彙 VIAモデル 出典:ガートナー

Q:
CIOのような立場でなくても、機械学習やアナリティクスについて理解しておくべきでしょうか。

ローガン氏:
はい、とはいえ普通に話す言語と同様、全てを完璧にマスターしなくても良いです。経営陣として企業にとっての価値がどうなっているかを判断するので、VIAのVについては深く理解する必要があります。IとAは、そういったものがありそれがどんなものかの概要を語れる程度良いでしょう。

CDOの役割と与えるべき権限と立場

Q:
ガートナーでは、企業の中にデータを扱う最高責任者としてのCDO(チーフ・データ・オフィサー)を置くべきとの話もされています。日本にはまだCDOがほとんどいません。そのような中で、CDOに必要なスキルはどのようなものでしょうか。

ローガン氏:
CDOは確かに地域によってまだ浸透、普及していないところもあります。そのため、他の役員がCDOを兼務していることもあるでしょう。CDOの責任には大きく3つあります。1つ目が組織のデータ資産を保全することです。これはCIOと緊密に連携し実現します。企業にとっての情報資産とは企業内にあるものだけではなく、企業が大きなイノベーションをもたらす可能性がある外部データの調達も含まれます。

2つ目は、知見を活用できるようにすることです。会社の中に存在するさまざまな知見を、BIツールなどを用いセルフサービスで全従業員が活用できるようにします。知見の活用はこれまで、データサイエンティストなどが担ってきました。それを全従業員にまで広げる役割がCDOにはあります。

3つ目の役割が、データから価値を見いだすことで、データから収益を上げ、今までになかったイノベーティブな観点で社内外のデータを分析できるようにします。そのようなCDOに必要なスキルとしては、言語としてデータを使いこなせなければなりません。変革に対しインフルエンサーであり、それを実践できる必要もあります。

Q:
CDOに与えるべき権限はありますか。

ローガン氏:
CDOはCEOもしくはCIOの直属の部下でなければなりません。そしてデータアナリティクスをどこで戦略的に使ったら良いかを検討する際に優先順位を決めたり、ビジネスパートナーと直接折衝できたりしなければならないでしょう。

もう1つ、企業におけるデジタル化の促進やデータリテラシーの向上において、インフルエンサーでなければなりません。その上で予算執行権限も必要です。またCIOの予算執行の合意者でもなければなりません。

Q:
日本はCDOがいなくて、誰かが兼任するのが現実です。CDOが役割を果たすには兼任でも上手くいきますか。

ローガン氏:
それは面白い観点ですね。他の地域では、CDOがおらず兼任している例はあまり多くありません。チーフ・デジタル・オフィサーが兼任している例はあります。とはいえチーフ・デジタル・オフィサーの役割は、今後消えてなくなるでしょう。デジタル化が当たり前になれば、デジタル・オフィサーの役割は必要なくなるからです。一方でチーフ・データ・オフィサーとしてのCDOの役割は、永久になくならいと考えています。

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著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジ...

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