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IFRSをめぐる我が国の動きと企業グループに与える影響~マネジメントが知っておくべきこと

  2010/02/05 07:00

IFRSが情報システムに与える影響

 情報システムに関する影響については、図4に示す通りである。IFRSの採用によって、図4の1 の出力/配信系のシステム領域には必ず影響が及ぶと思われる。また、企業によっては、2の一般会計、3の連結システム・データベース系、4の業務系のシステム領域にも影響が及ぶ可能性があるだろう。

図4 IFRSの採用が情報システムに影響を及ぼす領域

IFRS採用に向けての取り組み

 筆者は、立場上多くの企業の方々とIFRSの採用に関する情報・意見交換をしている。その過程で、我が国の企業が、現行の日本基準のもとにおいても、連結決算体制に多くの重要な課題を抱えていることが分かった。

 たとえば、子会社の経理人材の不足による子会社決算の信頼性・迅速性に関する問題、連結グループ各社が独自に財務報告システムを導入していることに伴う連結決算の非効率性の問題等である。さらには、経営陣からの経営意思決定に資する経営管理情報の適時な提供の要請、市場からの適時情報開示の要請等も、連結決算が担う課題を重いものとしている。

 こうした状況下で、筆者がお話を伺った企業の中にも、単にIFRSに基づいて連結財務諸表を作成することにとどまらず、それを契機として、連結グループ間における経理システムの統一、業務プロセスの標準化、さらには標準化された業務をシェアード・サービス・センターに移管して業務の効率性を高める等、経営管理の効率化や高度化を目指した取り組みを志向する企業、すなわち、IFRSが求める「会計処理の統一」をドライバーとして、統一化・一体化・標準化・統合化を連結グループ全体で達成し、より効率的かつ高度なグループ経営を目指す企業が増えている。

2009年7月に韓国ソウルにて開催されたIASCF主催のIFRSコンファレンスにおいて、米国SEC登録企業である豪州企業の元CFOが、2005年のIFRS採用当時の経験に基づいて、「IFRSの導入は、CFOにとって、長年悩まされてきた問題を解決する真のチャンスである。財務報告をより洗練されたものとし、フレッシュ・スタートする良い機会であった。」 とコメントした。このコメントは、最近の我が国の大企業に見られ始めたIFRS導入への取り組みと相通じるものである。

 企業グループとして、何を目的としてIFRSの採用に取り組むのか―取り組み方いかんによって、費やすコストの見返りとしての効果は大きく変わるだろう。

文中意見にわたる部分は執筆者の個人的な見解であり、執筆者の属する組織の公式な見解ではありません。


著者プロフィール

  • 手塚 正彦(テヅカ マサヒコ)

    1985年、東京大学経済学部卒業。1986年、監査法人中央会計事務所入所後、2005年10月より中央青山監査法人理事、2006年5月より同理事長代行を歴任。2007年10月に監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)入社、パートナー就任、経営会議メンバー、2008年4月より東日本ブロックIFRSプロジェクトリーダーを経て2009年1月より現職。

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