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現場の反発で頓挫した新システム導入--東急ハンズ長谷川秀樹氏に訊く(第1回) 

  2014/12/15 00:00

 「ヒント・マーケット」というコンセプトを打ち出し、V字回復を果たした「東急ハンズ」。その裏側には、ユニークで型破りな戦略思考と情報システム部門の抜本的な改革があった。果たして「東急ハンズ」改革の一翼を担ったIT施策とはどのようなものだったのか。キーマンである長谷川秀樹氏への連続インタビューを紹介する。第1回は入社当初のプロジェクト推進についてうかがった。

崖っぷちに立たされた「東急ハンズ」に呼ばれて

――東急ハンズのIT改革には、どのように関わられたのですか?

 はい、私が入社したのは、2008年5月頃で、その時の東急ハンズはまさに崖っぷち。Amazonや楽天などネットショップの台頭で強みとしていた品揃えの価値が急落し、始めたばかりのEコマースも振るわず、売上・利益とも低迷していました。  

株式会社東急ハンズ 執行役員 オムニチャネル推進部長 ハンズラボ株式会社 代表取締役社長 長谷川秀樹氏

▲長谷川 秀樹氏 
株式会社東急ハンズ 執行役員 オムニチャネル推進部長
ハンズラボ株式会社 代表取締役社長

 とはいえ、決して手をこまねいていたわけではありません。私が入社する2年前、2006年には新しいMD(マーチャンダイジング)制度を開発して新店舗のららぽーと豊洲店に導入し、次いで数店舗に展開されていました。しかし、どちらのお店でも期待した売上に届かなかったために、「システムに問題があるのではないか」と店舗からの反感が高まり、ついには新システムの店舗展開が凍結されてしまったのです。  

 この新たなMD制度の導入が決定される前までは、仕入れが店舗ごとに独立しており、それぞれ店ごとにシステムを持っていたのですが、仕組みがバラバラ、拡張性が低く、コストも二重負担になっていました。たとえば、ある商品を全店で取り扱うには、お取引先様が1店1店店舗をまわって20店舗分のバイヤーに売り込まねばならず、商品マスターへの登録は各店舗任せ。つまり、二重三重にも非効率な状態となっていたのです。ですから、複数のMDシステムを本部MDとしてまとめ、各店舗で行っている発注業務を一本化することは、効率化やデータの統合などを鑑みても必須事項であることは間違いありませんでした。

 そもそも新しいシステムに切り替えただけで売上が落ちるとは考えられず、私はシステム以外に問題があるのではないかと考えました。まず欠品率の計算式が以前と異なっていること、オペレーションに問題があることなどもわかりました。  

 そこで再び現場の担当者を集めてヒアリングを行い、約3カ月かけて現場の課題を洗い出したところ、「本部MD移行後の業務設計ができていない」「マスタがバラバラ」「バグだらけで処理速度が遅く落ちやすい」など、現場担当者の感情を逆なでするような問題が続々と出てきました。それ以前に店舗のスタッフの中には本部MD制に反感を抱いている人が多いこともわかったのです。

▲MD統合プロジェクト中断の原因 出所:東急ハンズラボ社の資料を元に作図

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著者プロフィール

  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

    「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。

  • 伊藤真美(イトウ マミ)

    フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

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