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東急ハンズ長谷川流 IT戦略思考法

情シス部門こそ、マーケティング領域のグリップを担うべき―東急ハンズ長谷川秀樹氏に訊く(第8回) 

 情報システム部門は「縁の下の力持ち」に例えられ、「組織の顔」を担う広報や営業部などからの依頼で動く場合が多い。しかし、東急ハンズの情報システム部門では、自らマーケティングやプロモーションの施策を考え、実行するケースが増えているという。そこで、第8回は「その理由はなぜか」「また他部署との軋轢はないのか」など、キーマンである長谷川秀樹氏にうかがった。(前回の記事はこちら)

企画書を書かず、正式な稟議を通さず、マーケティング領域に打って出る

――東急ハンズの情報システム部門がマーケティングやプロモーションの領域の仕事を手がけるようになったのは、どのような経緯からですか。

 情報システム部門として、Twitterを始めたのは2009年でしょうか。部内で面白そうだと話題になって、「やってみようか」という話になったんです。とはいえ、すでに広報部門が公式アカウント「@tokuhands」を取得していましたし、普通に稟議を通そうとしたら「それは広報の仕事」と一蹴されていたでしょう。  

 でも、ある日の昼食の席で広報の責任者と隣同士になったときに、「うちでもTwitterをやっていい?」と相談したところ、「いいんじゃないの」と許可をいただきまして(笑)。そこで早速「@hintmarket」というアカウントを取得して始めたんですが、公式アカウントのフォロー数を追い越してしまったんですね。それで協議の末、「@hintmarket」を広報に譲り、情報システム部門が公式アカウントの「@tokuhands」を情報システム部門が運営することになったわけです。

情報システム部門が運用する公式 Twitter「@tokyuhands」 https://twitter.com/tokyuhands

▲情報システム部門が運用する公式 Twitter「@tokyuhands

 今にして思うのが、やはりTwitterの施策について企画書を書いて、稟議通して、決済もらってと進めているようではダメだったなあと思うんです。「どんなサービスなの」「リスクはないの」ってはじまって、「他がまだなのに、うちがやる意味があるの」「もっと研究したまえ」なんて言われてしまうのが関の山。ようやく周囲がやり始めた時には陳腐化してしまって、話題にもならない。  

 もちろんすべてのガバナンスにおいてそうとはいえませんが、ソーシャルメディアのような新しいものについては、3Mのポッペンディーク氏が言うように「許可を取るな、謝罪せよ」であるべきでしょう。営業がやってもいいし、お店がやってもいい。でも、やらなければならない業務ではない、いわば“ポテンヒット”みたいなものですよ。それを拾いに行くのだとすれば、そんな大仰な承認が必要でしょうか。  

 かつてホンダやソニーなどには、社員が夜などに自発的に「裏プロジェクト」と称して新しいことに取り組んでいたと聞きます。さらにソーシャルメディアはお金も手間もさほどかかるものではない。それなのに正攻法でいってなかなか通らない、「うちの上部は頭が固い」なんてぼやいている。そんなの通るわけないでしょう。とにかくあらゆる手練手管と情熱を駆使してスジを通せたら、はじめてみればよいと思いますね。  

 そして、はじめるにあたって時間をかけて「ガイドライン」などを設定するのも不思議な話。向こう側にお客様がいると思えば、対面接客や電話、メールなどと変わりありません。接客の延長線上の1つのツールとしてTwitterがあるわけですから、接客とマーケティングの知識や技能を持つ人が担当さえすれば、新たにマニュアルを作る必要はないはずです。

――なるほど。一般常識として接客するのと同じように運営していけばいいというわけですね。それ以外のルールは設定していないのですか。  

 ああ、もしあえて言うなら「おもしろくすること」「正直であること」でしょうか。この2つだけは守っていこうと。そして、逆にやってはいけないことは「売上をあげようとすること」としました。これをやってしまうと、おもしろくなくなってしまうことは確実ですし、売上を上げようという意図が伝わるような内容では、むしろお客様はひいてしまうでしょう。  

 先に「企画書なんか書くな」といいましたが、企画書には必ず達成目標やKPIを入れますね。これがよくない。意識した途端に破綻するわけです。フォロワー数をKPIにしようという話もありましたが、仕組みとして有名人に絡んでいけばどんと増えるわけで、あまり意味はありません。でも、KPIとしてしまえば、そこに手を出そうとするのが人間でしょう。

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この記事の著者

伊藤真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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