サービスセグメント別では戦略コンサルティングが9.3%の高成長
今回の調査では、昨年調査時点の予測から上方修正している。これは、主要コンサルティングファームによる積極的なコンサルタント採用の継続や、新卒一括採用を進めてきた多くの国内顧客企業において、いわゆる「就職氷河期」世代などの、DXを担うべき層における人材不足が深刻化し、コンサルティング利用需要を喚起していることが影響している。
サービスセグメント別に見ると、戦略、財務/経理、業務改善(オペレーション)、組織/変革、GRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)その他の全5領域で、2017年に前年比6%を超える成長を遂げた。特に戦略コンサルティングは、デジタル戦略の策定支援におけるデザインアプローチを活用した発想/ビジョン策定段階からの支援といった、より全社/包括的なDX支援型案件の増加などにより、9.3%の高成長を遂げている。
産業分野別に見ても、2017年には、金融、製造、流通、通信/メディア、政府/公共、その他のいずれの分野でも5%を超える成長を遂げた。特に金融分野における成長率は前年比8.8%と高く、ビジネスモデルの見直しや、業務プロセスの見直しを含む生産性の向上の支援案件が増加した。
2022年まで年間平均成長率7.4%で成長し、支出額は5,612億円に達すると予測
IDCでは、DX支援に関わるビジネスコンサルティング市場をデジタル関連ビジネスコンサルティング市場として予測している。
具体的には、前述のデジタル戦略を初め、クラウド、アナリティクス、モビリティ、ソーシャルといった第3のプラットフォームの導入/活用、あるいは、同プラットフォームを通じて提供されるIoTやコグニティブ/AIシステム、ロボティクス、サイバーセキュリティ対策などの導入/活用に関わるビジネスコンサルティング案件が含まれる。同市場の支出額は2017年に前年比47.7%と特に高い成長を遂げ、505億円になった。同市場は2022年までのビジネスコンサルティング市場全体の成長を牽引して行くと予測される。
IDCでは、主要コンサルティングファームの採用ペースに衰えが見られないこと、外資系コンサルティングファームにおける国内市場への注力と投資が進んでいること、DXの概念がより主流派の(一般的な)企業の経営層に浸透しつつある中で、実践方法に悩む顧客からの需要が継続的に発生することなどから、国内ビジネスコンサルティング市場は2018年以降も高成長を継続し、2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)7.4%で拡大、2022年の支出額は5,612億円に達すると予測している。
IDC Japan ITサービス シニアマーケットアナリストの植村卓弥氏は「ビジネスコンサルティング事業者にとって、DXの支援に関わる活発な需要に応えるためのデリバリー能力の拡大はもっとも重要な課題の1つとなる。ただし、単に人員を拡大するだけでなく、DX支援に向けた最適な体制やファシリティ、新たな方法論などを再構築することが求められる」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2018年~2022年」にその詳細が報告されている。