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“首都圏に住む30代後半の既婚男性”が典型的属性に【デジタルリーダーの志向性調査】

  2021/03/25 19:28

 NTTデータ経営研究所は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に「デジタルリーダーの志向性調査」実施し、調査結果を発表した。

本調査におけるデジタルエンジニア・デジタルリーダーの定義

 本調査では、一般的なDXに関連する技術・サービス・手法へのかかわりを、デジタルエンジニアの判定項目として設定。いずれか一つでも、「実務が問題なくこなせるレベル」と回答した対象者を「デジタルエンジニア」と定義している。また、DXプロジェクトでの役割・立場について、「プロジェクトリーダー」以上と回答し、かつ、ビジネススキルとして、得意分野を2つ以上保有する人を「デジタルリーダー」と定義しているという。なお、いずれにもあてはまらない人材は、「非デジタル人材」としている。

図1:DXの推進体制例
図1:DXの推進体制例
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 「デジタルエンジニア」は高度なデジタルスキルを備えていることが人材要件である一方で「デジタルリーダー」はデジタル技術やデジタルエンジニアを活用するためのデジタルスキルだけでなく、事業やサービスを構想するためのビジネススキル、変革を牽引するための主体性・意欲・好奇心などのマインドセットのいずれも備えていることが要件となるという(図2)。

 両者とも、DX推進において重要な人材であることは間違いないが、当社が2019年に実施した調査において「デジタルエンジニア」の働く上での重視点として「上司・リーダーの選定」が挙がっており、DXの推進には「デジタルリーダー」の確保が肝要になると考えられると。そこで「デジタルリーダー」とはどのような人物像で、彼らを確保するためには企業として何をすべきであるかを明らかにするため、本調査を行ったとしている。

図2:DX推進に必要な人材の要件
図2:DX推進に必要な人材の要件
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主な調査結果と考察

Ⅰ)デジタルリーダーのボリュームと属性的な特徴

 今回、20代~40代の有職者を対象に調査を行ったところ、デジタルリーダーは全体の約2%しか存在しないことがわかった(図3)。デジタルエンジニアは全体の約6%(デジタル人材は約9%)であり、デジタルリーダーがいかに希少な存在であるかがわかるという。

図3:デジタルリーダーのボリューム
図3:デジタルリーダーのボリューム
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 デジタルリーダーの年代構成を見ると、デジタルエンジニアと比較し、年代が上がるほどボリュームが大きくなることが確認されたとしている(図4)。これは、DXを推進するには、牽引する力やビジネスの知見も必要とされることから、ある程度の社会経験が必要ということがわかるという。その他にも、デジタルリーダーは、男性の割合が大きく、既婚率はやや高いこと、また、地方に少なく首都圏に多いことが確認されている。以上のことから、デジタルリーダーの典型的な属性は、「首都圏に住む30代後半の既婚男性」と考えられ、際立った特徴は有していないとしている。

図4:デジタルリーダーの属性的特徴
図4:デジタルリーダーの属性的特徴
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Ⅱ)デジタルリーダーの転職流動性

 次に、デジタルリーダーの転職流動性について確認した(図5)。デジタルリーダーは約85%が転職を経験しており、この転職経験者数はデジタルエンジニアの約1.4倍(一般層の約1.6倍)であったとしている。また、デジタルリーダーの約83%は現在も転職の意向があり、約46%は1年以内の転職を考えているという。1年以内の転職意向もデジタルエンジニアの約2倍(一般層の約7倍)。「デジタルエンジニアの転職流動性の高さ」は、これまで多くのリサーチデータによって示されてきたが、本調査の結果からデジタルリーダーはその傾向がより顕著であることがわかったとしている。

図5:デジタルリーダーの転職流動性
図5:デジタルリーダーの転職流動性
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 上記を踏まえると、デジタルリーダーは、属性は特徴的でないが、存在は希少であり、転職流動性が極めて高い。適切な人材を確保しDXを推進するためにも、デジタルリーダーのキャリアや働き方に対する志向性を理解した上での人材確保が重要だという。

Ⅲ)デジタルリーダーの仕事に対する志向性①

 本調査では、デジタルリーダーの志向性をより詳細に確認するために、デジタルリーダーに対して転職理由や働く上で重視する点について調査を行っている(図6)。

 まず、転職理由については、デジタル人材に共通して「より高い報酬を得る」「スキルアップの学びができる環境で働く」ことが挙がったいう。デジタルリーダーは、上記2項目と並んで「能力が高く刺激しあえる人材と働く」ことを挙げており、社員同士でお互いの強みを高め合い、相乗的に成長する働き方を望む志向が確認された。一方、デジタルエンジニアは、上記2項目に次いで「より興味のある分野への挑戦」を挙げており、自身のスキルやテーマを深めるようなキャリア志向であることがわかったとしている。これらの結果から、デジタルリーダーは「人」を重視しチームや組織とともに成長する《チームワーク型》の働き方、デジタルエンジニアは「仕事」を軸に自分のスキルや領域を深める《専門化型》のキャリア志向と、それぞれ異なる志向性が確認されている。

図6:デジタルリーダー/デジタルエンジニアの転職理由
図6:デジタルリーダー/デジタルエンジニアの転職理由
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Ⅳ)デジタルリーダーの仕事に対する志向性②

 働く上で重視する点について、いくつかのテーマに分けて聴取したという。そのうち〈人材〉〈組織〉〈評価・キャリア開発〉〈仕事内容〉〈職場環境〉の5つについて、デジタルリーダーの特徴が確認されている(図7)。

図7:デジタルリーダー/デジタルエンジニアが働く上で重視すること(観点別上位2項目)
図7:デジタルリーダー/デジタルエンジニアが働く上で重視すること(観点別上位2項目)
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 デジタルリーダーは、〈人材〉の観点において「能力が高く刺激し合える同僚」を重視する。転職理由にも挙がった「能力が高い人材と高め合う」働き方は、同僚に主眼を置いていることが明らかになったという。また、〈組織〉については「互いに協力的で尊重し合える社風」を重視し、チームワークを重んじる傾向が読み取れたとしている。〈職場環境〉〈仕事内容〉に対しては、「興味のあるナレッジへのアクセシビリティ」や「知的好奇心が満たされる仕事」を重視しており、自分の専門性を高める方向に限らず、関心のある領域に知識・スキルを広げていくキャリアを志向することがわかった。〈評価・キャリア開発〉の観点では「会社からスキル形成の機会が提供されること」を重視し、デジタルリーダーが新たな領域に挑戦する上で、企業や組織に対してスキルアップの支援を期待することがうかがえるという。

 これらを踏まえ、デジタルリーダーは仕事や転職を通じた《スキルや領域の拡大》を実現することに主眼を置き、それに必要な要素として「スキル形成の機会」「優秀な同僚」「チームワーク」などを求めることがわかったとしている。

 デジタルエンジニアは、〈人材〉〈組織〉の観点として「自分と価値観の合う社員が多い」「風通しが良い」ことを挙げている。〈職場環境〉については「リモートワーク」「自分専用の席」など一人一人にあった環境の整備を重視しているという。デジタルリーダーがチームワークや同僚との高め合いを重んじる一方で、デジタルエンジニアは《個の働き方》を望み、コミュニケーションにおいて“摩擦”がない状態を好むとしている。〈評価・キャリア開発〉の観点では、「評価基準やプロセスが明確」であることを重視し、社内の制度や基準等においても見通しが良い状態を求める傾向がわかっている。また、〈仕事内容〉については「自分のスキルを生かせる」ことを重視し、彼らの専門性を追求する志向がより明確に表れたという。

 これらを踏まえ、デジタルエンジニアは個々に合った働き方ができる環境に身を置きながら、自分のスキルや領域を深化させるようなキャリア志向であることが読み取れたとしている。

Ⅴ)考察

 本調査の結果から、デジタルリーダーの特徴が明らかになったとともに、デジタルリーダーを確保するために押さえるべきポイントをつかむことができたという。

 デジタルリーダーは、デジタルエンジニア以上にマーケットにおいて少数、かつ、転職志向が強いため、企業はデジタルリーダーの志向性を理解した上で、確保にむけた施策を検討する必要がある。デジタルリーダーの志向性は、デジタルエンジニア同様、スキルアップを重視するという傾向がみられたものの、自身の専門領域に関わらず、様々な分野への挑戦や多様な人たちとの接触を通じて、自分を高めていきたい、という考えをもっている。本志向性を踏まえると、企業がデジタルリーダーを確保するためには、優秀な人材が集まったチームやプロジェクトへの配属に加え、彼らの知的好奇心を刺激するようなミッションを与え続けることが重要となる。

 たとえば、採用時には、加入する組織に優秀かつ多様なメンバーが揃っていること(揃えようとしていること)や、デジタルリーダーの興味をひくような先進的なプロジェクトや社運をかけたプロジェクトが進行していること(進行しようとしていること)を伝える必要がある。また、採用後に定着させるためには、デジタルリーダーのモチベーションや取り組んでいる仕事の状況を把握し、さらにチャレンジングな課題に取り組めるアサインメントや、それに紐づいたゴール設定をしていくことが肝要になるとしている。そのため、デジタルリーダーの確保には、彼らを束ねる頭領・責任者(CDO)が大きな役割を担っており、CDOがデジタルリーダーの知的好奇心を刺激し続けられるかどうかがポイントになるという。

 DXを推進するには、デジタルリーダー/デジタルエンジニアいずれも必要不可欠な存在であるが、両者は異なる志向性をもっている。企業として、自社に必要な人材とその志向性を理解し、デジタルリーダー/デジタルエンジニアそれぞれに最適な環境を提供することが、人材の充足につながり、ひいてはDXの推進につながると考えられるとしている。

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