ENEOSマテリアルと横河電機は、AIが約1年にわたり化学プラントを高いパフォーマンスで自律制御できることを確認したことから、今回ENEOSマテリアルにおいて自律制御AI(強化学習AI アルゴリズム FKDPP:Factorial Kernel Dynamic Policy Programming)を正式採用することに合意したと発表した。強化学習AIがプラントを直接制御するものとして正式採用されるのは世界初だという。
1年間の実証実験において、外気温変化(外乱)の影響を受けやすい制御箇所に対し、自律制御AIにより、年間で外気温が40度ほど変化する中、夏や冬を含めて安定したパフォーマンスで液面制御と排熱利用の最大化を実現できたとのこと。また、稼働中は一度もトラブルなく、安定的に稼働し、厳しい出荷基準を満たした良品のみを生産。
自律制御AIによって、規格外品が発生することによる燃料や人件費等の損失、時間的損失を削減したと同時に、製品生産にあたって原料をより効率的に使用可能となった。これにより、従来の手動制御に比べ約40%の蒸気使用量とCO2排出量を削減したとのこと。
他にも運転員が24時間態勢で頻繁に手動制御する必要がなくなり、作業負荷のみならず人間への心的な負担も減ったことで誤操作防止につながり、より安全性が高まったとしている。
ENEOSマテリアルと横河電機は、今後も協力して、プラントでの制御や状態基準保全へのAI活用も含めたDXを広く検討していくとのことだ。
【関連記事】
・横河電機、製造業のDXを支援する新会社「横河デジタル」を設立
・横河電機とドコモ、AIと5G技術をプラント遠隔操作を行う際の有効性確認に成功と発表
・マクニカ、横河電機の予測型AIプロジェクトを支援 高精度の予測実現でDX化を推進