オラクルは、「EU Sovereign Cloud」を開始したと発表した。
同サービスは、機密、規制対象、または戦略的に重要な地域のデータやアプリケーション、およびEU一般データ保護規則(GDPR)などのEUのガイドラインや主権、データプライバシーに関する要件が適用されるワークロードを扱う顧客も、クラウドへ移行可能なものだとしている。
また、顧客のホスティング・データがEU加盟国内にとどまり、クラウド領域がEU拠点の人員のみによって運用されるため、ヘルスケア、銀行・保険などの金融サービス、通信、公共部門などの重要な業界におけるデジタル・トランスフォーメーションへの取り組みを支援する。サービスの概要は以下のとおり。
オラクルのパブリック・クラウドと同じサービスを同価格で提供
Oracle EU Sovereign Cloudは、オラクルのパブリック・クラウドで提供される100以上のクラウド・サービスを、主権要件に係る機能に対する特別プレミアム料金は発生せずに、パフォーマンス、管理、可用性に関する同じSLAに基づいて提供する。オラクルの顧客は、「Oracle Support Rewards」などの他の顧客向けプログラムも利用できるという。
また、現在EU Restricted Access(EU限定アクセス)製品として提供されている「Oracle Fusion Cloud Applications Suite」も、Oracle EU Sovereign Cloudで提供される予定だとしている。
EUのデータプライバシーと主権のための設計と運営
Oracle EU Sovereign CloudのデータセンターはEU内に設置され(ドイツのフランクフルトとスペインのマドリード)、EU内に設立されたオラクル傘下のEU法人が所有・運営する。また、運営およびカスタマー・サポートの人員もEU居住者に限定されるという。
データセキュリティと主権を強化する分離されたアーキテクチャ
EU内に設置されたオラクルの商用リージョンと、インフラストラクチャを共有しないアーキテクチャにより、データレジデンシーとセキュリティを確保できるよう設計されているという。EU域内の災害復旧アーキテクチャをサポートするために2つのリージョンで構成され、ハードウェアの耐障害性を高めているとしている。
また、EUのデータプライバシーおよび主権に関するガイドラインと要件への準拠を、効率化および簡素化できるとのこと。複雑なポリシー・ツールによる顧客データの追加設定を必要とせず、顧客データがEU内に収まるようにすることで、リスクを低減しながら、顧客による導入を加速させるという。
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