2023年10月5日、Genesys Cloud Services(以下、ジェネシス)は大阪リージョン開設にともなう記者説明会を開催した。
同社が記者説明会を現地開催して本国幹部が来日するのは約4年ぶりとなり、ジェネシス 会長兼CEO トニー・ベイツ(Tony Bates)氏は「日本はグローバル全体から見ても重要な市場である」と切り出す。
ジェネシスが掲げるのは「Experience as a Service(エクスペリエンス・アズ・ア・サービス)」というサービス姿勢であり、同社が2022年に実施したCXに関する調査によると、約31%がネガティブな体験をきっかけとして別のブランドへ移ってしまうと回答しているという。従来のコールセンターは効率性などを重視した自動化にフォーカスが当てられてきたが、「それだけではなく、顧客と従業員体験のオーケストレーションに目を向けるべきだ」とベイツ氏。同社が提供するプラットフォーム「Genesys Cloud CX」も同様の理念から設計されており、AIを活用しながらアナリティクスやワークフォースエンゲージメントなど多様な機能をオールインワンとして提供できるように強化してきたという。
ジェネシスが創業してからARR(年間経常収益)1億ドルを達成してから「他社のSaaS企業を抑え、10億ドルを達成している。それだけに日本での優位性も大きい」と強調すると、具体的な製品戦略について同社 最高製品責任者 オリヴィエ・ジューヴ(Olivier Jouve)氏にバトンを渡した。
ジューヴ氏は、IBMで勤務していた経験からも「日本はイノベーションに貪欲な市場だ」と所感を述べると、2023年第4四半期(4Q)にはAWS大阪リージョンでサービス提供を開始すると触れる。現在、東京を含む16リージョンでソリューションが提供されている中、東京リージョンと同様のフルリージョンでの開設となっており、「何かが起きても確実にフェイルオーバーできる」と自信を見せる。加えて、2023年9月6日には「CX Cloud by Genesys and Salesforce」を発表しており、CRMとの統合を進めていくと強調。ジューヴ氏は「完全なインテグレーションを実現するための単一ソリューションであり、まさに『Dreamforce』と呼べる唯一のものだ」と述べる。
また、ジェネシスはAIの開発に約400名を投入しているとして、今ブームとなっている「LLM(大規模言語モデル)」による通話データのテキスト化、正規化、会話フローの生成などにも取り組んでいるという。具体的には、AIモデルを「AWS Bedrock FMs」や「BERT」「Flan T-5」などのオープンソースモデルから選択でき、既に利用しているAIモデルをインポートすることも可能。2024年第1四半期には、会話記録から感情・共感分析(センチメンタルアナリティクス)、自動要約した会話記録をCRMにエクスポートするなどの日本語での機能追加も予定されている。
なお、日本においてはコミュニティ形成にも注力していくとして、2023年9月12日には「G-Summit Japan 2023」を開催。2023年9月13日には、NTTコミュニケーションズの音声回線サービスとあわせた形での提供も発表されている。