2024年6月14日、シスコ・システムズは「CDA(Country Digital Acceleration)」プログラムにかかわる記者説明会を開催した。
冒頭、約2年ぶりの来日となった、シスコ シニア バイス プレジデント 兼 グローバル イノベーション オフィサー/カントリー デジタル アクセラレーション(CDA)&シスコ ネットワーキングアカデミー担当を務めるガイ・ディードリック(Guy Diedrich)氏は、「CDAプログラムを通じて、各国のデジタル化プロジェクトを推し進める」と切り出すと、今や50ヵ国で1,600超のプロジェクトが生まれていると述べる。
たとえば、南アフリカにおけるプログラミング教育やスタートアップの支援、サウジアラビアでの教師不足への対応をはじめ、太陽光発電やEV車の普及、スマートシティ実現へ向けてシスコ製品を用いたサポートを行ってきたという。他にもオスロ大学の医学部では、脳腫瘍患者の診断から治療まで6週間ほどかかっていたが、AIを活用することで6日にまで短縮することもできたとして、「テクノロジーに対して投資をしなければ危機へ対処できない、プロジェクトを通して体感してきた」とディードリック氏。8300万件の仕事が今後5年間で失われる一方、6900万件の新たな仕事が生まれるとの調査もある中、産官学が手を携えて新たなテクノロジーに対応していく必要性を強調する。特にパートナーシップが重要になるとして、CDAプログラムに各国政府が積極的に参加することの重要性を訴えた。
日本ではCDAプログラムを2019年に開始し、公共インフラや教育、働き方改革の推進などをサポートしてきたとシスコシステムズ 代表取締役社長 濱田義之氏。2022年からは「CDA 2.0」と称した、新たなフェーズに突入しているという。たとえば、次世代モビリティサービス領域では、AECC(Automotive Edge Computing Consortium)に所属し、“コネクテッド基盤”の構築に向けた取り組みをなどに注力してきた。実際に北海道・岩見沢市では、農業の継続に向けて5G/ローカル5Gの併用による無人トラクターの監視・制御、医療機器を搭載したMaaS車両による遠隔操作での高度医療の実現、GIGAスクール構想に基づいた小学校におけるCisco Merakiの導入などを行っている。
また、デジタル人材不足という日本全体での課題については「シスコネットワーキングアカデミー」を通じた学生への支援を継続しており、今後も“カントリーデジタイゼーション”実現に向けてサイバーセキュリティやAIといった領域でもサポートしていくとして、「日本の持続的成長に寄与していきたい」と濱田氏は締めくくった。