米国時間2025年3月17日、Zoom Communications(Zoom)は、プラットフォーム全体におけるエージェント型AI Compaionの機能、Zoom AI Companionの新機能、AI関連のアップデートを発表した。このアップデートには、「Zoom Meetings」「Zoom Team Chat」「Zoom Docs」「Zoom Phone」「Zoom Whiteboard」「Zoom Contact Center」、業界別のソリューションなどが含まれるという。
今回追加されたエージェント機能には、ミーティングのスケジュールを調整し会議参加者の都合の良い時間を見つけるカレンダー管理、クリップ作成を可能にするクリップ生成、文書作成を支援する文章作成サポートなどがあるとのことだ。
また、AI Companionは専門的なエージェントにも拡張されるという。Zoomバーチャルエージェントは、記憶と推論の機能を活用し会話とタスクを実行。AI Studioでは、カスタマイズ可能なバーチャルエージェントを簡単に作成し、実装できるとのことだ。この機能は、今春後半にベータ版として提供開始予定だとしている。Zoom Revenue Acceleratorのユーザーは、今後数ヵ月以内に営業専用のエージェントを利用できるようになるという。
なお、ユーザーは近日中にZoom のオープンプラットフォームを通じて、ServiceNow AIエージェントなどのサードパーティ製エージェントとAI Companionを連携できるようになるとのことだ。
新機能であるCustom AI Companionアドオンは、AI StudioでAI Companionをカスタマイズできるものだという。組織は、自社や業界特有の語彙を使ったカスタムミーティングテンプレートやカスタム辞書を作成できる。加えて、互換性のあるサードパーティ製アプリケーションを含む独自のデータソースから情報を取り入れ、AI Studioを活用してAI Companionのナレッジや機能を拡張できるとのことだ。
これによりユーザーは、デジタルパーソナルAIコーチとカスタムミーティング要約テンプレートにアクセスできるようになり、1対1のミーティング、顧客対応、ブレインストーミングミーティングといった、ミーティング要約の構成が可能になるとしている。
また、Zoom Clips向けカスタムアバターにもアクセスが可能になるという。パーソナライズされたAI生成アバターと、ユーザーが提供するスクリプトを使用してクリップを作成することで、ビデオクリップ作成の規模を拡大し、撮り直しの手間を省くとしている。
「Custom AI Companionアドオン」は、ZoomのサードパーティLLMとともにSLMを組み込むという。SLMは多言語データで訓練され、複雑なアクションを実行するために特定のタスクに最適化されているとのことだ。
今回追加されたAIエージェント機能は、各サービスに対して以下のような支援を可能にするという。
- Zoom Tasks(3月末リリース予定):Zoom Workplace全体でタスクの表示、完了、管理を支援。ミーティングの要約、チャット、およびメール内からアクション アイテムを自動検出し、フォローアップ ミーティングのスケジュール設定や、ミーティングの内容を基にしたドキュメント作成といったタスクを完了できる。Zoom Workplace内の新しいタブで利用でき、Zoom Docs内に埋め込むことも可能
- ミーティングアジェンダ(5月リリース予定):テンプレートやアジェンダを活用して推奨コンテンツを提供し、ユーザーが効率よく管理できるよう支援。ホストは、セクションにアジェンダタイマーを追加したり、ミーティング中にAIが生成したライブノートを受け取ったりできる。加えて、ミーティング終了後に要約とアクションアイテムを共有することも可能
- Zoom MeetingsとZoom Phone向けライブノート(5月リリース予定):ミーティングや電話中にリアルタイム要約を提供。素早く状況を理解し議題に沿った進行を維持しつつ、アジェンダに関連するリアルタイムのトピックに集中し、情報をその場で把握できるようになる
- Zoom Phone向けAI Companion:ボイスメールの要約を生成し、Zoom for Microsoft Teams アプリをサポート。Microsoft Teams内のZoom Phoneの通話では、AI Companionによる通話要約の生成およびボイスメールからのタスクの抽出と優先順位付けが可能
- モバイルアプリでのボイス レコーダー機能(3月下旬リリース予定):AI Companionが会話の文字起こし、要約、アクションアイテムの把握を行い、録音を作成。ユーザーはメモを取らずに会話に集中できる
- ワークスペース予約向けAI Companion(5月リリース予定):従業員のオフィス出勤予定を表示し、ミーティングの予定や出社予定日を基に、どの日にオフィスに行くべきかを推奨。AI Companionが能動的にデスクやZoom Roomsを予約する
- Zoom Docs(6月リリース予定):参照機能とクエリ機能を提供。この機能により、ユーザーは文脈に基づいて執筆プランを作成し、社内外の情報を検索して参考情報を収集し、ユーザーの指示に基づいてビジネス文書にまとめることが可能
また、同社はミーティングや業務関連の資料を保管する中央リポジトリである「Zoom Drive」を発表。5月に提供開始予定で、Zoom Workplace 全体で資料の検索とアクセスを容易にするとのことだ。
加えて、Zoom Contact Centerにエージェント機能を導入。以下のようなサービスを用いて、顧客体験(CX)の革新、カスタマー サービス担当者の支援、セルフサービスでのやり取りの強化を図るとしている。
- Zoom バーチャル エージェント(今春後半ベータ版リリース予定):自然な言語機能を提供し、複雑な問い合わせに対応。ユーザーに代わってタスクを実行する。音声とチャットのチャネルで利用可能となり、いつでもアクセスできる体験を提供する
- AIインテントルーティング(3月末リリース予定):リアルタイムのインテント検出に基づき、顧客を担当者に割り当てる
- Advanced Quality Management(5月リリース予定):AIを活用して顧客とのやりとりを最大100%自動的に採点。また、スーパーバイザーが書き起こしを直接照会し、インサイトを発見する会話型インターフェース「Ask Quality Management」も利用できるようになる
そのほか、4月に提供開始予定の「Zoom Workplace for Frontline」は、AI Companionをベースとした専用モバイルソリューション。勤務中のコミュニケーションおよび業務管理ツールを提供するという。
3月末に提供開始予定の「Zoom Workplace for Clinicians」は、臨床ワークフローを合理化するために設計されているとのことだ。診察室やバーチャルZoom遠隔医療診察で、診療記録を自動的に生成できるようになるとしている。
5月には「Zoom Workplace for Education」を提供開始予定。AI Companionが生成した講義要約と補助資料を提供し、教師は課題の作成に、学生は学習資料の作成に利用できるという。今年後半にはライブノート機能が追加されるとのことだ。
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