2026年7月23日、Asobicaは新サービス「coorum promotion」をローンチ。これにともなう記者説明会を開催した。
Asobicaは、累計48億円の資金調達を実施している企業。事業環境が大きく変化する中、企業には“ファン戦略”(客単価・利用頻度の向上など)が求められているとして、同社ではデータプラットフォーム「coorum」を提供している。たとえば、セブン&アイ・ホールディングスやSUBARU、コメダ珈琲などは、顧客エンゲージメントの強化に取り組んでおり、事業成長や製品価値の向上につなげているという。同社が実施した調査によれば、関係性・顧客接点の強化、顧客理解を目的としてファンマーケティングを推進する企業が多いとのことだ。
Asobica CEOを務める今田孝哉氏は、「ファンを消費者ではなく、共に価値をつくるパートナーとして位置付けている点が特長だ」と述べる。いま現在、ファンや既存顧客との接点強化が経営アジェンダになっているとした。
今回、Asobicaが投入するcoorum promotionは、単発的に実施されていたプロモーション施策を事業成果につなげるためのプロダクト。プロモーション施策で獲得したデータの活用、顧客の育成などを見据えているとして、一般的なキャンペーンツールやCRMツールの機能を網羅しているとのことだ。

たとえば、プロモーション施策の結果をAIで分析することで、次の打ち手につなげることも可能だという。既に北陸製菓では先行導入をしており、SNSによる広範なVoCだけでなく、コンセプトカフェ「ぶち揚げ★ビーバーカフェ」の来店アンケートやオンラインアンケートを通じてVoCを収集し、ロイヤリティ工場を図った施策にもつなげられているとした。
Asobica 渡邉翔太氏は、「まずは、メーカーやリテール、外食産業などを中心に提案をしていく。今後、coorumを拡充していく上では顧客データ基盤への投資も欠かせない」と説明。AIを活用するためにも顧客データ基盤へと投資していくと強調した。
なお、説明会にはAsobicaの顧客事例として、Mizkanとカシオ計算機の2社が登壇した。
Mizkanでは、2024年に“腸活”から健康的な食生活を支えるための新規事業「Fibee(ファイビー)」を立ち上げており、ファンコミュニティ「Fibee腸内会」を運営している。ロイヤルカスタマーのLTV向上、UGC拡散による新規顧客の獲得、そして顧客理解に基づく商品・ブランド開発を目的としているとして、Mizkanの白岩真梨子氏は「一緒にブランドをつくっていくパートナーとして、チラシの内容、商品の試作品開発などにも取り組んでいる」と話す。
実際にコミュニティ参加者のLTVは、非参加者と比較して1.5倍にまで向上しているという。「罪悪感のないおやつとして食べていただいると考えていたが、実際にコミュニティを通してN=1インタビューを実施してみると、満足感のある軽食として購買していただいていることがわかった。これをブランド戦略にすぐに活かせている」と白岩氏。顧客起点で考えることが売上・利益向上に結びついているとして、今後もファン戦略を活かしていくとした。
また、カシオ計算機では、モノ消費から“関係性消費”へと市場環境が移り変わっていることを背景に、時計における新しい楽しみ方を拡げることを模索する中で、中期経営計画にもつながるファンコミュニティ「CASIO WATCH PARK」を立ち上げている。カシオ計算機の阿部壮一郎氏は、「ユーザーはファンに、ファンはエバンジェリストになってもらいたいと考えて、ファン戦略に取り組んでいる」と話す。
同社では、ライト層からコア層までステージ別に分類しながらクイズ企画や投票企画、バッジプログラムなどを通じてファン戦略を推進。たとえば、D2Cサイトにおけるコミュニティ参加ユーザーと非参加者のAOV(Average Order Value)を比較すると、コミュニティ参加者のほうが上回る結果となるなど、ファン戦略を通してビジネスKPIに寄与する定量的な成果も上げられているとする。「ブランドロイヤリティが向上し、どのようにコアファンになっているのか。coorumも活用しながら分析している」と阿部氏。今いるユーザーを大切にしつつ、ファン層をさらに拡張していきたいとした。
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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