IDCでは、サーバー、ディスクストレージシステム、ネットワーク機器およびソフトウェアの組み合せをベンダーが認定した上で統合したシステムパッケージをインテグレーテッドシステムと定義。さらに、インテグレーテッドシステムをインテグレーテッドプラットフォームとインテグレーテッドインフラストラクチャに分類している。
導入に至らなかった回答者では「ITスタッフの作業効率の改善」が突出
インテグレーテッドシステムの導入メリットに関する認識では、「システム管理ツールの削減」を指摘する回答が最も多いという調査結果になった。一方で、インテグレーテッドシステムを評価したが導入しなかった回答者に絞って見ると、導入メリットとして「ITスタッフの作業効率の改善」を指摘する回答が突出して高いという結果だった。
インテグレーテッドシステムを導入する場合、一度にすべてのアプリケーションをインテグレーテッドシステムに移行するといったことは、通常、行わないと考えられるため、従来型のシステムとインテグレーテッドシステムが混在してしまうため、逆にITスタッフの作業効率は改善しないと判断し、導入に至らないケースがあると推測されとしている。
「セキュリティ」「主要データセンターのネットワーク機器との互換性」「災害対策」が評価基準の上位
インテグレーテッドシステムの評価基準として重要な上位3項目は「セキュリティ」「主要データセンターのネットワーク機器との互換性」「災害対策」だった。インテグレーテッドシステムでは、仮想化されたITリソースを多くのアプリケーションで共有することになる。
また、データベースを主用途とする場合、多くのデータベースサーバーが統合されることになる。つまり、セキュリティ上の脆弱性や災害によるシステム停止による影響範囲が大きくなる。
アプリケーションごとにシステムを個別最適化して導入するのに比べて「セキュリティ」や「災害対策」に対する評価はさらに重要度を増していると考えられるという。
また、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器を販売~保守サポートまで一元的にパッケージ化したものがインテグレーテッドシステムであることから、「主要データセンターのネットワーク機器との互換性」を評価基準として重要視していると考えられる。
「クライアント仮想化」「特定のサーバーアプリケーション用基盤」「全社共通IT基盤」「クラウドIT基盤」が用途の40%以上
インテグレーテッドシステムの用途を見ると「クライアント仮想化」「特定のサーバーアプリケーション用基盤」「全社共通IT基盤」「クラウドIT基盤」の回答率がそれぞれ40%を超えた。
「クライアント仮想化」は、Windows XPのサポート終了を契機としてインテグレーテッドシステムを活用しての導入が進んだと考えられる。また、「特定サーバーアプリケーション用基盤」は、インテグレーテッドシステム採用のメリットを従来型のサイロ化したシステム更新などで、導入工数削減に生かしたと考えられる。
「導入済み」と「導入予定あり」の回答結果を比較すると、今後は、「クラウドIT基盤」としてインテグレーテッドシステムを検討する企業が、これまでよりも相対的に増加する可能性があるとしている。
今回の発表は、IDCが発行した「2015年国内インテグレーテッドシステム受容性調査」にその詳細が報告されている。