企業が試験導入を終え、本格導入へ移行する兆候
学校および教育産業を除く全産業分野のタブレット稼働台数は2015年では527万台、2017年では779万台になると推計される。この中でタブレットの用途は、メールやスケジュール管理などのコミュニケーションでの利用が中心となり、2015年~2017年での稼働台数は2015年の約400万台/年から約100万台/年拡大すると推計される。
一方、プレゼンテーションや文書などの利用での参照系は、コミュニケーションの約半分の台数で推移すると考えられる。また、社外業務端末としてのタブレット、データベース処理などの基幹系のタブレットは、2015年では169万台と推計され、2017年では2015年の約1.5倍の台数が利用されると考えられる。
タブレットを導入している企業に増設の意向を問うと、タブレットのOSが決まっている企業の65~73%に増設の意向があることが分った。これは、2014年5月の前回調査では30%前後であったことと比較すると顕著に増えている。
その要因は、「タブレットのOS未定」「導入しない」と回答した企業が前回調査のそれぞれ15%、40%から今回調査では5%、12%と低くなったことと関連がある。このことは企業が試験導入を終え、本格導入へ移行する兆候を示しており、今後増設に対し、具体的な検討が進んでいくと考えられる。
iPad/Androidタブレットはコミュニケーションやプレゼンテーション用途が中心
また、iPad/AndroidタブレットとWindowsタブレットでは用途に対する考え方が異なることがわかった。iPad/Androidタブレットでは、メールなどのコミュニケーションやプレゼンテーションの利用が中心であり、基幹システムとの連動を考えている企業はタブレットの社内導入率が高くなっても低い回答率となった。
一方、Windowsタブレットでは、社内のタブレット導入率が50%以上の企業で、基幹システムと連動させ利用することを考えているとの回答が半数近くになり、iPad/Androidタブレットと比べると異なる傾向を示した。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏は、「タブレット導入済み企業で今後増設するタブレットのOSを決めている企業は、前回調査の2014年5月に比べ増加している。このことは、企業が試験導入を終え本格導入に移行する兆候を示している。各企業では本格導入に向けその導入効果測定の手法や指標についても同様に準備する必要がある」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「2015年国内モバイル/クライアントコンピューティング市場 プラットフォーム/サービス/アプリケーションのユーザー調査」にまとめられている。