オンラインファイル共有市場の2016年度の売上金額は77億8,000万円、前年度比16.7%増となった。ほぼ全てのベンダーが売上げを伸ばしており、2桁以上の伸びが見られたベンダーが半数以上にのぼったことが要因となっている。
スマートデバイスのさらなる普及と、それに伴う通信速度の向上やワークスタイル変革へのニーズの高まりなどから、外出先や自宅環境からのファイル利用の需要は年々高まっている。また、ファイルサイズやメールボックス容量など、電子メールの添付ファイルの各種制限を超えたファイル授受の手段として、あるいは各種業務アプリケーション間を連携させるためのハブないしはインフラとして、オンラインファイル共有は着実に業務に浸透しつつある。
ITRでは独自の視点により、データの置き場所や運用形態の違いからオンラインファイル共有製品を、ベンダーの資産となるサーバ上にディスクスペースを設けている「クラウドストレージ型」と、ユーザーの資産となるサーバ上にディスクスペースを設けている「物理ストレージ型」の2つのタイプに分けている。
クラウドストレージ型は、スマートデバイスからのファイル利用や取引先とのファイル交換など、クラウド環境であることによるアクセス性の高さ、あるいは比較的低コストでの導入が可能であることなどから需要は継続的に高まっている。また、先進的な企業を中心にファイルサーバのリプレース手段としての利用も進みつつある。
他方、物理ストレージ型は、クラウドストレージサービスと連携させ、疑似的なファイルサーバ統合を実現するための機能を備えたものもあり、ファイル管理の一環としての導入も広がりつつある。こうしたことから、物理ストレージ型とクラウドストレージ型を合算した市場のCAGR(2016~2021年度)は12.9%を予測している。
ITRの取締役/シニア・アナリストである舘野真人氏は、「オンラインファイル共有は、従来のメール添付に替わるファイル共有手段としての認識が定着しており、依然として関心は高い。また、昨今は、社内のファイルサーバの代替手段として導入を検討する企業も増えており、市場の伸びは引き続き堅調に推移すると見られる」とコメントしている。
今回の発表は、ITRが発行した市場調査レポート「ITR Market View:ファイル共有・転送市場2017」に詳細を掲載している。同レポートには、ファイル共有市場、ファイル転送市場、ファイルサーバ可視化市場の国内全36ベンダーへの調査に基づいた2015~2016年度売上げ実績および2021年度までの売上げ予測を掲載している。