SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

data tech 2017 セミナーレポート

成功の反対は「何もしないこと」、まずはやってみよう――稲田修一氏が提言するIoT活用による価値創造の方法論

 IoT/データ活用では「思考バイアスをただすことが大事」と一般社団法人 情報通信技術委員会 事務局長の稲田修一氏は述べる。ビジネス変革のためにIoT/データ活用が注目されているが、活用を成功させるには価値創造のやり方や開発方法なども変えていくことが必要。また、人々のマインドを変えていくことも必要。「data tech 2017」(主催:翔泳社)に登壇した同氏が、ビッグデータ/IoT活用によるビジネス変革の本質とそのインパクト、価値創造の方法論とモダンな開発手法への転換、その推進に不可欠なマネジメントの役割について解説した。

稼働監視だけでなく、売上げやブランド価値の向上をめざして

 稲田氏によると、日本においてビッグデータやIoT活用に積極的な企業は少数派で、多くはコストに見合う短期的なリターンが見込めないとして消極的だという。同氏は「そうした判断は一見合理的に見えるがリスクを考えていない」と指摘する。

一般社団法人 情報通信技術委員会 事務局長の稲田修一氏

 近年では競争力や価値の源泉が変化してきており、時代に合わせてビジネスを変えていく必要があるためだ。CDは音楽配信に変わり、タクシーはUberやLyftに変わりつつある国が増えているいま、時代に乗り遅れることは大きなリスクである。

 IoT時代の考え方として参考になるのが、ハーバード大学のマイケル E. ポーター氏の競争戦略だ。製品やサービスをネットワークに接続し、データを収集・活用することで価値が生まれるというもの。最初は製品やサービスの状態をモニタリングするところからはじまり、次第に運用制御や最適化へと高度化していき、自動運用や自動連携などへと進んでいく。

▲図:ポーターの競争戦略と製品/サービスの変化 出所:「data tech 2017」
一般社団法人 情報通信技術委員会 事務局長 稲田修一氏講演資料より[クリックすると図が拡大します]

 例えば産業用ポンプ。保守費用の低減や突発事故を防ぐための対応策として稼働監視が行われている。流水量や水質、機器の状態などのポンプ関連データに加え、外気温度や湿度などの環境データも合わせて収集し、蓄積したデータを分析することで、保守の時期やその時に必要な部品を事前に予測できるようになった。保守周期を最適化することで費用低減、それからポンプの最適な運用制御にもつながっているという。

 浄水器の稼働管理の例も興味深い。流量センサーをつけてデータを収集しクラウド上で管理を行い、ユーザーのスマホにフィルターの交換時期を通知している。これによって、交換フィルターの売上が増加している。こうした稼働データの分析で、たとえば浄水器の水は飲用だけでなく洗顔にも使われているなど想定外の用途が判明すれば、浄水器のマーケティングも変わるだろう。  

 その他にも、顧客に気づきを与えて交換フィルターの売上増加につなげるだけではなく、ジレットの「替え刃モデル」(本体を安くして替え刃で儲けるビジネスモデル)の採用が可能になると稲田氏は指摘する。加えて浄水器を販売した後でも顧客とつながりを持つことで、ブランドイメージ向上やビジネス機会の増大などにつなげることができる。IoT活用の価値は稼働管理に限定されるものではなく、売上げやブランド価値の向上などビジネスの進め方にも大きな影響を与える可能性がある。

次のページ
機器の管理だけではなくビジネスの課題解決にも

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
data tech 2017 セミナーレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/10070 2017/11/22 06:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング