ヨーロッパではSAP ERPのデータベースをDb2にする企業が数多くいる
多くの企業が、ITコストの削減に取り組んでいる。その方法はクラウド化だったり、アプリケーション更新タイミングでのインフラの見直しだったりする。そんな中SAPの裏で動くデータベースを移行することでコスト削減ができると語るクチューク氏。SAP ERPは、さまざまなデータベースで動く。Db2は、すでに世界で10万件以上のSAP ERPのデータベースとして実績がある。
「ヨーロッパでは、コスト削減のためにOracle DatabaseからDb2へ移行する例は多く、すでに1,000社以上の移行プロジェクトを行いました」(クチューク氏)
顧客がSAPのデータベースにDb2を選ぶ理由には、ストレージコストの削減がある。Oracle Databaseの非圧縮状態と比べ、Db2のBLU圧縮機能を使うと90%ほど、Oracleで圧縮機能を使っている場合でも40%ほどストレージを圧縮できるとクチューク氏。これは分析環境のSAP BWの試算で、OLTPのSAP ERPでもOracleの非圧縮で10テラバイトほどのストレージが3.5テラバイトほどになると、クチューク氏は自信を見せる。
もう1つIBMが主張するのがライセンスコストの削減だ。「実際にはディスカウントもあり一概には言えないが、OracleからDb2への移行で50から80%のライセンス費用を削減できる場合もあります」。アナリティクス性能などが向上すれば、それもハードウェアリソースの削減につながりコストを下げられると主張する。
「SAPのデータベースをDb2にすることで、一時的なCAPEXもランニングコストとなるOPEXも削減できます」(クチューク氏)
さらにストレージやサーバーを縮小できれば、エネルギーコストやスペースの削減にもつながる。もう1つクチューク氏が主張するDb2のメリットが、パッチ適用頻度がDb2では低い点だ。SAP HANAやMicrosoft SQL Server、Oracle Databaseが1、2ヶ月に1度ほどの頻度でパッチを当てるのに対し、Db2は5ヶ月に1度程度。パッチ適用のサイクルが長いことは、運用管理コストの削減につながる。
Db2 BLUの動的インメモリカラムナは一味違う
SAPではSAP BWA(Business Warehouse Accelerator)の今後の更新をしないと表明している。これはSAP BWの環境を、今後はSAP HANAへ移行させる意図があるのだろう。とはいえすぐにHANA化をしないユーザーは、代替え策を模索しなければならないことに。乗り換え先としてIBMでは、Db2 BLUの動的インメモリカラムナ機能の利用を提案している。
Db2の動的インメモリカラムナ機能は、SAP HANAやOracle Databaseのものとは一味違うとクジューク氏。実際10テラバイトのSAP BWの環境で、膨大なデータの読み書きが発生すると想定したケースで比較すると、これに対応する性能を発揮するのに必要となるハードウェアスペックはデータベースごとに大きく異なるとIBMでは試算する。HANAがRAMのサイズで5,000から6,000ギガバイト、CPUコアの数で360、OracleもRAMのサイズは同様でコア数は312から375が必要になるところ、Db2 BLUの場合はRAMが256から512ギガバイト、CPUコア数は16から32あれば良い。
「Db2 BLUなら必要なハードウェアは非常にコンパクトで済みます。2年間ほどでさらにデータベース規模が成長すると考えれば、この差は大きく影響するでしょう。キャパシティのプランニングでも、Db2以外のデータベースでは最初からかなり大きなものを用意しておく必要があります」(クチューク氏)