バックアップの課題をフラッシュとクラウドの組み合わせで解決
ピュア・ストレージの昨年度(2019年度)のグローバル売り上げは1.36ビリオンドル、顧客企業数は6,000社を超えた。順調なビジネスの拡大を受け「ピュア・ストレージが、市場で認知され始めたとの実感があります」と語るのは、ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏だ。
ピュア・ストレージでは今後の時代を見据え「データの扱い方」をスクラッチから考え、「データセントリック・アーキテクチャ」を提唱、それに基づいた製品とサービスを展開している。従来ストレージのようなインフラは、どちらかと言えば縁の下の力持ち的存在。そのためどのようなストレージを使っているかをアピールするような企業は少なかった。しかしここ最近になり「ピュア・ストレージを使っていることを前面に出してくれる企業が出ています。安定していてイノベーティブなストレージ使っていることを、アピールできるからです」と田中氏。今回新たに提供する2つの製品は、まさにそういった企業の変革を押し進めるためのものだ。
米国ピュア・ストレージ 戦略部門副社長のマット・キックスモーラー氏も、企業は変革の中にありその中でビジネスを成功させるには新しい革新的なソリューションを出し続けることが重要だと指摘する。そのため今回提供するデータ保護プラットフォームの「ObjectEngine」と、高速ストレージを実現するNVMe over Fabricをサポートする「DirectFlash ファブリック」は、「既存の製品に手を加えたものではなく、まったく新しいものです」と言う。
ObjectEngineは「史上で初めてのフラッシュからクラウドへのバックアップ・ソリューションです」とキックスモーラー氏。これは2018年8月に買収した「StorReduce社」の技術を使ったものだ。バックアップはデータやシステムに対する保険であり、単にデータが保管できるだけでなくリストアができないと意味がない。しかしながら多くのバックアップのソリューションでは、リストアに多大な時間がかかる課題がある。また、保管しているデータをそのまま置いておくだけでなく、何らか活用し効率化したいとの要望もある。
「今やバックアップデータが、企業の中で最も大きなボリュームとなっています。そこに新たな価値を見いだしたいと考えている企業はたくさんあります。ピュア・ストレージではObjectEngineでリストアの速度を大きく向上し、保存しているデータをいかに活用できるかについて取り組みました」(キックスモーラー氏)
これまでのバックアップソリューションの多くは、ディスクからディスクにバックアップをとり、それをテープにコピーし保管してきた。テープになると、そこにあるデータを活用することはまずできない。そしてもう1つ課題となっているのが、データが増えておりリストアが迅速にできないこと。「バックアップアプライアンス製品などでも、バックアップ速度の速さは主張しますが、リストア速度に言及するものはほとんどありません」とキックスモーラー氏。実際ピュア・ストレージがオールフラッシュのストレージを市場投入した際に、多くの企業がリストアスピードを速くするためにこれを採用していたことに驚かされたという。
これら課題に対し、フラッシュストレージとクラウドを組み合わせて、高速なリストア速度を実現しさらに経済性も向上させたのがObjectEngineとなる。ObjectEngineでは、フラッシュストレージからフラッシュストレージに高速にバックアップを取得し、そこからクラウドにデータを保管する。ObjectEngineは、バックアップのアプライアンスと、クラウド上に長期にわたりデータを保存するためのソフトウェアの2つの製品で構成される。典型的な使い方としては、まずは既存システムからObjectEngineのアプライアンスにバックアップを取得、このときには重複排除機能などが働きバックアップサイズはかなり小さくできる。小さくなったデータはAmazon S3に長期保存され、さらに「ObjectEngine Cloud」のソフトウェアの機能で、Amazon S3に保管されるデータをアナリティクスなどに使うためのレポジトリとして利用できる。
ObjectEngineのアプライアンスは、競合するバックアップアプライアンス製品と比べてもラックスペースは3分の1程度で済む。またスケールアウト型のアーキテクチャとなっており、ユーザー要求に応じ柔軟に容量を拡張できる。
「価格的には従来のバックアップ・アプライアンスとほとんど変わりません。これを従来の代替ソリューションと位置づけ、販売していきます」(キックスモーラー氏)