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IBM Db2 V11.5は、AI活用のために進化した「AIデータベース」

 今やAIは百花繚乱。振り返れば、IBMはWatsonでAIブームの先駆けだった。AIが適切な結果を出すには学習が不可欠であり、与えるデータの正しさや運用の効率も重要な要素となっている。IBMは主要なデータベースIBM Db2を「AIデータベース」へと進化させた。

AIを使う人のため、AIを創る人のため、Db2は機能強化した

 これからのビジネスを考えた時、AIはなくてはならない存在だ。学習済みのAIを使うにしても、独自のAIを生み出すにしてもだ。そしてAIにはデータが欠かせない。データには格納するためのデータベースが必要になる。そう考えると、IBMがデータベースをAIのために進化させるのは自然であり必至。

 IBMが持つデータベース製品群で中心にいるのがIBM Db2。メインフレームの時代からあり、オープンシステム、ビッグデータ、クラウドなど時代の要請に応じ、機能拡張を続けてきた。これまでもIBMはWatsonはじめ多角的にAI活用を進めてきたが、今度はDb2。新しいIBM Db2 V11.5(以下、Db2 V11.5)はAIのために強化されているのが特徴だ。

 IBMはDb2 V11.5を「AIデータベース」と呼ぶものの、「“ぽっと出”ではありません」と四元菜つみ氏は強調する。データベースとしてもAIの扱いにしても、これまでのIBM Db2の進化の積み重ねの先にあるものだからだ。

日本アイ・ビー・エム クラウド & コグニティブ・ソフトウェア事業本部 IBM Data and AI 事業部 Db2 Strategy Leader 四元 菜つみ
日本アイ・ビー・エム クラウド & コグニティブ・ソフトウェア事業本部
IBM Data and AI 事業部 Db2 Strategy Leader 四元 菜つみ氏

 AIには大きく分けて2つのパターンがある。新たな機能を持つAIを独自に創り出すパターンと、学習済みのAIをAPIなどから利用するパターンだ。乱暴だが人間に例えれば、前者が組織で一から育てる新卒採用、後者が即戦力重視の中途採用。Db2 V11.5はどちらに対しても強化が加えられている。

 前者、AIを独自に創り出すということは、新たに学習させ、独自のアプリケーションを開発していくことになる。そのためにはあらゆるデータソースからデータを集結させる必要がある。しかしデータ集約は変換や移動などで手間やコストがかかりがちだ。そこでデータ仮想化でデータを移動させることなく、ETL不要でオーバーヘッドを減らし、シンプルながらも高性能を実現する。

 各種最先端テクノロジーが使える多彩さも必要だ。Java、Python、GOなど対応言語を広げ、またサンプルコードの公開にも力を入れている。グラフのApache TinkerPopやGremlin、ブロックチェーン(Hyperledger)にも対応した。こうしたAIを開発する場面における機能拡張で、より正確な結果を出せるAI、より使いやすいAIを素早く開発できるようになると期待できる。

 後者、AIを利用するには、使いやすさが重要になる。そこでNatural Language Query(NLQ)により自然言語でデータにアクセスできるようにして、さらにNLQを用いたデータ可視化と予測分析を行うDb2 Augmented Data Explorer(ベータ版公開中)でより手軽にデータ活用できるようにする。

 Db2 V11.5の強化点はAIだけではない。高可用性災害時リカバリー(HADR)はより手軽に構成できるようになり、ミッションクリティカル向けのpureScaleは業務を止めないためのリソース最適化やパフォーマンス向上を実現し、データ分析向けのBLUアクセラレーションはさらなる性能向上や機能拡張がなされている。

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加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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