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ガートナーに訊く企業のコンテナ活用の今後(後)── AWS vs マルチクラウド陣営

edited by DB Online   2020/03/24 07:00

誰がマルチクラウドを推進したいのか

 もう1つ、2019年にVMwareが発表したTanzuもマルチクラウド、ハイブリッドクラウドのトレンドに載るソリューションだ。Tanzuのアプローチは、AnthosやOutpostsあるいはOpenShiftのように自分たちのプラットフォームをさまざまなところで動かせるようにするものと少し異なる。Tanzuは、AWSのKubernetesサービスであるAmazon EKSやGoogle Kubernetes Engine(GKE)など、既に動いているクラウド上のKubernetesサービスなどを、Tanzuを使い集中管理できるようにする。

「Tanzuはよりライトにマルチクラウド環境を提供できるようするアプローチと言えます」と桂島氏。VMwareには、もう1つvSphereとKubernetesを統合してKubernetesの管理をシンプルにするProject Pacificもある。こちらはソフトウェア型のOpenShiftのアプローチに似たものと言える。

 ところで、AWSやGoogleのようなクラウドサービス・ベンダーと、VMwareやRed Hatのようなソフトウェアベンダーでは、コンテナ、Kubernetesを活用するソリューションに対する立ち位置に違いがある。たとえばVMwareの技術を使う場合、マネージドサービスを利用するとしてもコンテナ環境の運用は自分たちで行うのが基本だ。これはRed HatでもPivotalでも同様だ。一方AWSやGoogleは、オンプレミスにコンテナ環境があっても、それをクラウドからリモートで管理しマネージドサービスのように使えるようにする。

 ところで現状AWSとMicrosoftは、マルチクラウド戦略を声高にはアピールしていない。一方、彼らから市場競争では後れをとるGoogleは、かなりマルチクラウドを意識している印象がある。IBMがRed Hatを買収しマルチクラウドのメッセージを強めているのも同様の立場からだろう。

 前面に出し難いとは言え、Microsoftではマルチクラウド、ハイブリッドクラウドのプラットフォーム「Azure Arc」を提供し、マルチクラウド戦略も打ち出している。こういった動向からは、AWSという市場での圧倒的なリーダー企業との違いを出すため、他のクラウドベンダーがマルチクラウドのメッセージを強めているとも捉えられる。

 もう1つのトレンドが、前出のOutpostsのようにエッジでコンテナを活用する動きだ。この領域で興味深いベンダーの1つが、Rancher Labs社だ。同社は、Kubernetesを軽量化した特別なディストリビューションを提供している。「Kubernetesをよく”k8s”と略して表記しますが、さらにライトだと言うことで”K3s”と名付けています」と桂島氏。またKubernetesをエッジで動かすことに拘らずに、Dockerコンテナをエッジに送り込む動きもあるとのこと。これは、エッジ環境ではKubernetesが重荷だからだ。エッジでのコンテナ利用はまだ試行錯誤状態であり、今後動向を注視していく必要がありそうだ。


著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリストとして、クラウド、データベース、ビッグデータ活用などをキーワードに、エンタープライズIT関連の取材、執筆を行っている。

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