Shoeisha Technology Media

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

テーマ別に探す

【SIベンダ必読】ソフトウェア受託開発の収益認識はこう変わる、KPMGコンサル、あずさ監査法人に訊く

edited by Operation Online   2020/03/25 06:00

現行の進行基準と同様に認識する場合の3つの要件

<p>有限責任 あずさ監査法人 アカウンティングアドバイザリーサービス パートナー 荻野毅氏</p>

有限責任 あずさ監査法人 アカウンティングアドバイザリーサービス パートナー 荻野毅氏

――原価回収基準はごく一部のレアケースのみで、基本的には完成基準と進行基準を適用するわけですね。進行基準を適用できるのはどんな時ですか。

友田:ステップ5の履行義務の充足では、以下の3つを検討する必要があります。

  1. 企業が顧客との契約で定めた義務を履行するにつれて、顧客が便益を得られるか。
  2. 企業が義務を履行することで、顧客の資産ができあがるか。あるいは所有する資産価値が増加するか。
  3. 他に転用できない性質の資産ができあがっているか。かつ資産のできあがった部分に対して対価を収受する強制力のある権利を有しているか。

荻野:2番目はお客様が所有する土地に建物を建設することをイメージするとわかりやすいです。お客様が所有する土地であれば、その上に立つ建物ができるに従ってお客様の資産価値が徐々に増えていくことが確実ですから、進捗度に応じて収益を認識できます。

 この3つの要件のいずれかを満たしている場合は現行の進行基準、いずれにも当てはまらない場合は現行の完成基準と同様に収益を認識するのですが、ソフトウェア開発の場合、3つ目の要件が当てはまるかが、進捗度に応じて計上できるかの判断の境目になるでしょう。

――現在、進行基準を適用している案件に大きな影響が出そうですね。

友田:ソフトウェアの受注開発の場合、3つ目の要件の「転用できない資産」については満たしていると判断できそうですが、「強制力のある権利」のところが論点になりそうです。また、民法改正の影響も受けることになると思います。請負契約の場合、契約が途中で終わったとしても、完了した分の便益がお客様にある場合はベンダーにその部分の請求権があり、そこで「強制力のある権利」があると判断できれば引き続き進行基準を適用可能です。

荻野:「強制力のある権利」で想定しているのは、期間中のトラブルが全くなく、お客様都合で中止するようなケースです。その場合で、かかったコストのみならず、マージンも含めて請求できるのであれば、一定の期間で収益を認識できると考えられます。

 民法改正の影響についても触れておくと、今の契約書では、お客様が一方的にキャンセルした場合の支払い条件を明記していない場合が多いのではないでしょうか。契約書に記載のないことを好意的に解釈されることはないという前提で、契約書に関係条項を盛り込む必要が出てきます。


関連リンク

著者プロフィール

  • 冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

     IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めることに関心があり、現在はマーケティングテクノロジーを含む新興領域にフォーカスしている。

バックナンバー

連載:EZ Press

もっと読む

All contents copyright © 2007-2020 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5